Neo border          [ Version1.0 ]     ■ 010 ■

Neo border [ Version1.0 ] ■ 010 ■

   Foresight

近未来、現実国家では正すことのできない不合理がネット上に仮想国家を生み出した

■ Neo Border  010 
Neoフォルダには確かに2022.09.30.docがあった。

「パソコンはまめに漂白しろ。とにかくすぐにそこを出たほういいんじゃないか?
そして、道標をゲットしたいならおれについてこい」

はっと気づき、すぐさまUSBのJohnが作成した常駐しないステルスタイプのセキュリティを走らせた。
すると一見見えないわずかな領域に通常あるはずの無い防壁と、内部にネットへの送信プログラムらしきルーチンがみえた。
「そういえば、この宿の回線は最新のNeo Border Net系だっだな・・・・しかしまさか・」
MarkはすぐにWilliam、Johnにこのことを伝え、わびた。
「ピザがくるより先にチェックアウトしないと俺たちがピザにされるわけね」
「ああ、激辛なやつにな」

寝る振りをして電気を消し、そっと外を見ると怪しげな人影が見えた。

「ちょっと近づきすぎたのは反省するべきだが、、ある意味ここがかなり重要ポイントだと教えてくれたわけだな」

すぐさま宿を出て夜の繁華街向かって歩いた。バックパッカー変身の術のライセンスは神業の域である。
しばらく歩くとネオンが見えてきたが、
遠くヘッドライトが見えたので、物陰に潜むとMarkの目の前でそのぼろぼろの車がエンジンをつけたまま止まった。
見ると荷台の墨に黒い鼠の絵が描かれている。

「後から来るベンツに乗るか、この車に乗るかはあんたのじゆうだ」

幾時間走ったろうか、夜がすっかり明けたころ小さな町で降ろされた。
男は何も語らず走り去った。

「ここ、どこ?」

その通りは朝市が開かれていてひとであふれかえっている。
「ま、とにかくおなかがすいたな」
ひとごみに入りファーストフードをゲット。ほどほどに観光客もいて、露店の無限に続く心惹かれるアイテムに今の自分を忘れてしまいそうになったとき
振り向いた瞬間、筋肉質で強面の男が立っていた。
Markはびっくりしてひっくり返りそうになったが、
よく見るとちりちりの頭に三角の耳らしきものが二つのっている。
足の間からお尻から垂れているであろう紐が垂れ下がっていた。

「まさかとは思うけど、ねずみさんでしょうか?」
恐々独り言のように小さくたずねた。

「は?誰がねずみだ!黒いねずみだろうが!」

「あ、すいません。そうです」

「ここから西10マイルに街がある。そこで漂白して夜までに戻って来い。」
そう言うと人ごみの中に、黒いおおきなねずみは消えていった。

街で漂白とWilliam、Johnの安否確認と情報交換を済ませ、小さな町行きのバスを待っていると、
三角の耳をつけたあの黒いおおきなねずみが乗った車が止まった。

「どうするんだ!」

「は、乗させていただきます」

2時間ぐらいは走ったろうか、朝居た小さな町より少し大きな町の繁華街でおろされた。

「デジャブだな」

昨夜から今まで街で漂白中に数時間うたた寝をしただけだったMarkは
露店で食事をしながら
暗がりの路地に沿って走るねずみを、閉じてしまいそうな目でながめていた。

Neo border [ Version1.0 ] ■ 010 ■

この小説は将来映画製作用の原作のため、時間経過と共にバージョンが変化していきますので、ご理解のほど、よろしくお願いします

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Foresight

  • 小説
  • 掌編
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-10-28

CC BY-NC-ND
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