魔法使いマキちゃん

誰かをまもると、だれかが傷ついたり
そういうのが嫌で
傷ついてる誰かによりそってあげたくて
ほんとうによりそってあげてるのは自分自身なのかもしれない、とか


ああ、授業の開始と終わりのチャイムが鳴るたびに
ぜんぶリセットされたらいいのに


男子トイレから出てくるずぶ濡れの女子生徒
喋ったことも、同じクラスになったこともない
それを通りすぎた、わたしの正義とか悪とか

みんなを濡らす雨は平等で優秀だなー
なんて、思うよ


渡り廊下に吹く風がわたしの頬を叩いた
ような気がした
乾いた、ほんとうに乾いた風



「マキー!帰ろー!」


いつも、いつも、いつも、ある
とはかぎらない幸せ
いつ手に入って
いつ失くなるのかわからない


放課後の下足場でわたしたちのうしろを通りすぎた体操服の女の子に
いっしょに帰らない?
って
今日、はじめて話しかけた

魔法使いマキちゃん

魔法使いマキちゃん

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-11-01

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