後ろの大人たち

空を飛んだ

空を飛んだ

後ろを沢山の大人達、皆が口を揃えてこう言った「ほら、だから言ったのに。皆がもっと守ってあげなくちゃいけなかった」

私が生きてた頃、
大人達は皆私を守ろうと必死だった。

いつも大人が私の後ろにいて、付いて回った。

空を飛び終えた頃、大きな境の向こう側に、とすんと落ちた。

まばら、まばらに人がいて、程よい距離の空間は、窮屈さが無くって居心地さえいいと思った。

歩いて、歩いたけど、すーっと身が軽いかのように足取りが進んでって、

あぁ、もう二度と境の向こう側には行きたくないな。なんてそう思った。

ふと、少し前の出来事を思い出して、ぎゅうぎゅうに身を寄せ合った大人達が、ああでもない、こうでもない、私達が守るから、とよく言っていた。

けど、今周りを見渡したら、皆が前だけを向いていて、軽い足取りで、すーっと進んでいくのしか見えなくって。

あそこは、窮屈だったから、守ってくれる人は、時に自分を苦しめるから、ここに来て少し物知りになったこと、優越になった。

ここから、また、違うところに向かって、空を飛ぶことができるけど、もうここでいいかな。なんて。

生きるのは、何回でも、自由だから、また新しいところに行きたくなったら行くよ。

後ろの大人たち

後ろの大人たち

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-10-24

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