空耳

空耳

聞き慣れたその声は、

また聞こえてきた……



空を見上げるといつも
親父の声がするようで

まだ小さかった頃
意味もわからず聞いていた

もし、
お前に好きな人ができたなら
見えなくなるその日まで

お前の精一杯の愛情を
その相手に捧げてやれと

その人のためではなくて
自分の精一杯の姿を見せてやれ

それが伝わればその人が
一生お前の隣にいる人だと

まだ小さかった頃は
意味もわからず聞いていた

今はとなりにいる人の
穏やかな寝顔を見ていると

空から聞こえる
親父の声がするようで

この空見るたび響いてる
今は居ない親父の声が……

空耳

もう居ない人の声だった。

空耳

空と声が重なる頃に……

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-09-26

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