sparkling

午前0時。一人ぼっちの小部屋。傘を置き、電気を付けてまた消した。一瞬が眩しくて、少しばかりの酔いがさみしくなった。髪を耳にかきあげ、ヒールを脱ぐ。よろめいて、足をつく。素肌の冷たさにまたさみしくなる。そのままヒールを手折るとやわらかい匂いで部屋が満ちた。たぶん、なにか花の香り。傘、あめ、きみの横顔。夢のなかではすべてモチーフで、あいはからだになりたがっていた。あめが降ったら愛している、それくらいでいいからずっとあなたに注がれたい。冷蔵庫を開ける。オレンジ色の光、甘いだけの炭酸水、それだけ。なんとなく、豆電球になったような気もち。コップを飲み干すと雨音が舌を叩いてくるしい。今日がもうすぐ終わって、あしたがもうすぐ来て、冷蔵庫にはなにもない。それでも愛はあると信じている。最後に残った炭酸水のお砂糖みたいに。

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中途半端なショートショート

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-09-17

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