カタツムリの変質

 随分昔のこと、渦まく殻をもち、それだけを誇り自慢をするカタツムリの先祖が、自分の体の半分をみておもった。(この呪縛からのがれられはしないものか)
“神様神様、どうか僕のこの殻をかわった色々な形にしてはくれませんか、どうかこの群れの中から抜きんでる事を願う”
騙し騙され騙し合い、まだ生まれたての世界で、矛盾をはらむ渦の形と大きさ、色やその立派さがカタツムリの“えらさ”の指標となり、強さを望んでカタツムリは争い合った。その片割れのかたつむりが、別の祈りをささげた。
“ともたちよ、どうか別の形で物事を解決へ導かないか”
 しばらくたち神へいのったカタツムリは海へうつり海とまじりあい生活をして安心をえて海のひろさにかまけて、自分の小ささを忘れてしまい。友へ祈った片割れのかたつむりは、地上へのこって、十人十色の殻を持つようになり、いろとりどりの糞をするようになったという。それからというもの地上のカタツムリは、地上があまりに平坦なので、同族で競い合う事はやめたのだそうだ。

カタツムリの変質

カタツムリの変質

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-08-28

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