ムートンブーツステーション




ムートンブーツを履いて各駅に停まる。
玄関を出る時間は急いでも,
ダイヤグラムが合わないのだ。
カンカン鳴る踏切で起きる習慣,
朝食は食べない派。
モコモコに包まれて吸う通勤時間。
一本の芯があって肺刺すチクタク。
背筋が伸びる。
私の季節。






ミントの葉は頭も起こして
内々から冬を体現する。
降った霜も割ったショートに
いたずら冷気が足首をさらう。
信号待ち。
クラクションが車より先に行き,
ブレーキは無音でレッドシグナル
(残念ながら5回は点滅しない朝),
欠伸は息継ぎをするため必要とされる。
松任谷由実はイヤホンにいた。
出だしから軽妙だってフリーウェイ。







ブルーライトは渡って良し。
右から歩む左利き。







どこかしらで敬遠した冬休み。
針葉樹林は痛そうに思えた。
たくさん狭くて通りにくい森。
重い寒さは鈍く気だるく
14時の陽光の営業も玄関先まで。
思い出す休日の時間は木の匂い。
ウッドベースのリズムセクション。
琥珀の中の躊躇に睫毛は
自然な重さに瞼を閉じて。







ビートルズを聴きたいCDプレイヤー。
気が合うねって開くトレイ。







再生ボタンだけ操作する一曲目。







ハロー,
ハロー。







ハロー,
ハロー。







エージェントMrのオーダーは
マイルドコーヒーを内容とする。
ブラックな日常にミルクを垂らして
カフェテリアでするリードブック。
題名はカバーした大切にする心,
ミステリアスに踊る。
子犬はドーナツの行方が気になり,
サングラスマダムは彼より謎のまま
ビルが太陽より高くなる。
再開発のお仕事になる。
それからエージェントMrは来週には
軽いマフラーを装着すると思うのだ。







これも1つの手作業,
栞を挟む。
ストーリーはここから始まり,
ここまでストーリーは守られて







長めのマフラーにくっつく。
駆け抜けた勢いは冬に踏み入り,
急ぎすぎたと後ろの秋から
切った前髪の語ること拾う。
弱い小声。
半音も落ちない低音。
落葉の邪魔なんてしない優しさ。
そしてニットに毛玉がない。
誇らしく思え。
焚き火はそう,
化学反応を真っ直ぐ登る。
焼き芋を貰えた幸運に
感謝の言葉が熱く漏れて







明日の日程を書いた,
ボード乗せるチョコ。
紅い包装にタイトル。
リボンみたいな金の色。
間隔を開けるモノサシ。
cmの指さし確認。







羊を起こしてみよう。
食べれる予感する。






ビートルズ聴けば中には,
サンクスとも言ってるはずだ。
羊に教える。
そして口にする。







羊に教える。
そして口にする。







ビープ音とも言うクラクション。
ヨウ!
と,一回だけなって赤い車が左折する。
右折より早く消えるのは潔い。
遅れて声をかける。







ムートンブーツはショートカット。
急行の初めて。
車内広告も明るく見える。
今年の流行りに載ってること,
見ないふりのフリルが動く。







耳元でイヤホンは
ビートルズの到着を伝える。
Hello,Hello!と言われた。
グッモーニングと思う。







駅構内の長袖マフラー。
モコモコっとした別のムートン。
オータムの気配がした。
時刻は午後になる前の
朝だった。







朝食は食べない派。
モコモコに包まれて吸う。
肺刺すチクタク。
焚き火の薫り。
ホクホクする。
背筋伸ばす。
私の季節。

ムートンブーツステーション

ムートンブーツステーション

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-10-23

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