林間学校

友だちの友だちからじゃなく、 先輩の先輩から聞いた話だけど、うちの高校の林間学校はマジ怖いよ、だなんて、もうすっかり騙された気分だ。
2泊3日の林間学校はすでに帰りのバスに乗り込もうと集合したところだ。

「って、いつまで待たせるんだよ」

炎天下の日差しに止まらない汗をぬぐう。

初日のキャンプファイヤーだって輪になって踊っただけだし・・・・・・わるい思い出ではなかったけど。
2日目の肝だめしは内心ビビっていたのがばれちゃって、ギャーギャー叫んでしまったけど。

「各班、全員いるな。よーし、バスに乗り込むぞ」

ようやく先生が号令をかけた。早く、早く涼しいバスに乗りたいー。

「席は奥から詰めて座るように」

先生はそう言うが、うちの学校、バスくらいケチらないで大型車を借りてくれよ。
ちょうどクラス人数分が乗れる定員のバスだから狭いんだよ。

「誰だぁ、さっきから暑いだの狭いだの文句たらたら言うのは」

やば。先生に心の声が漏れている?

「冷たっ」

動揺で隣に腰かけた人に肘があたったよ。
それにしても冷え症か?やけに冷たいよ、この人は。って、さっきから通路側が落ち着かないな。

「そこ、立ってないで早く座れ」

気付けば通路を往復するクラスメートがしきりに首をぐるぐる振っている。

「先生、座る席がありません」

クラスメートが叫んだ。

「またか」

先生は頭をかきながらため息まじりに言う。

「帰りになると、ついてきちゃうんだよな」

は?何を言ってるんですか、先生。
語りかけるように先生は静かな口調で俺たちに言った。

「みんな、隣に座った人の顔を見てくれ。乗っているのクラスメートか」

学校に帰るまでが林間学校だ。
そして俺は恐る恐る顔を横に向けてみた。

林間学校

林間学校

  • 小説
  • 掌編
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-08-18

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