放課

渡り廊下は酷く殺風景に映り
保健室の花瓶には紅い花が挿されていて
理科室の窓は少し煤けていた

放課の鐘が響き渡ると
すべてが息を吹き返したような心地になり
彩りを取り戻した日常に風景を変える

美術室前の壁に展示されている絵を見にいくと
いつも先にいるはずの人は
何故だかきょうはいなかった

ぼやけた頭はいつまでもぼやけたままで
制服を脱いだ先のことなんて、想像もつかなかった

放課

放課

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-07-21

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