テロ対策は闇が深い!Emir

この話は『テロ対策は闇が深い!Dora』の続きです!(1話は『テロ対策は闇が深い!Able』)

※この話は『小説家になろう』にも載せます
※この話は『小説家になろう』では第二章にあたります

Emir

東京本部正面口……

「着いたが、誰もいないな」

保科は車を東京本部正面口付近に止めるとそう言った

「連絡が遅かったですし、仕方ないですね」

名取はそう言うと車から降りた。そして捕まえた男の乗っている後部座席の扉を開けた

「保科一等!」

保科も車から降りると、誰かにそう呼ばれた。なので声のする方向を保科が見ると、そこには朝宮と和泉がいた

「着!」

朝宮は走って保科の前に行くとそう言った

「遅れてすみません。不審者というのはどこに……」

和泉も朝宮に続いて保科の前に行くとそう言った。するとその質問に対して、保科は「後部座席に入るよ。いま名取が引っ張り出そうとしてる所だから手伝ってあげて」と言った。すると和泉は「了解」と言い、名取の手伝いをし始めた


「男を引っ張り出したら、とりあえず取調室まで運ぶ。朝宮は部屋を確保しておいてくれ」

「了解」

朝宮はそう言うと建物に戻ろうとした。しかし車のある方向から何か重いものが落ちる音がしたため、足を止めた。そして保科と名取の乗ってきた専用車を見ると、名取と和泉の足下に男が倒れていた

「何があった?」

男が道路に倒れているのを見た保科は二人にそう聞いた。すると名取が「意識がありません。もしかしたら毒か何かを……」と言った。するとそれを聞いた保科は朝宮を見てこう指示を出した

「取調室はヤメだ。それより医官を呼んでこい!」

「了解!」

朝宮はそう指示されると走って建物の中に入っていった


「名取、これって突然暴れたのと何か関係あるか?」

保科は名取にそう聞いた。車で移動中、男が突然暴れ始めた時かあった。そのときは運転の邪魔になるとしか思っていなかったものの、いま思うとその時に何かあったのではないかと保科は考えた

「多少のことなら医官が調べてくれるので、それで分かるかと……」

名取はそう言うと、地面に倒れている男の上半身を持ち上げ、車に寄り掛かる体勢にさせた


ゾンビ殲滅局には医官と呼ばれる人がいる。この医官というのはゾンビ殲滅局関係に勤めている医者、看護師または救急救命士のことで、たびたび救護班もいう形で殲滅作戦に関わることもあった

「保科一等!連れてきました!」

突然建物のある方向から朝宮の声が聞こえてきた。なので保科がその方向を見ると、朝宮と白衣を着ている女性がこちらに向かって走っていた

「こっちです」

朝宮は医官を倒れている男性の元に案内した。しかし白衣を着ている女性は保科の前で止まるとこう言った

「すみません。私、ここの医官じゃないのですが大丈夫ですか?」

「ここじゃないと言うと?」

保科がそう言うと女性は名刺を取り出し、それを保科に渡した。なので保科は名刺を受け取って見てみると、所属の所に『関東ゾンビ殺所場』と書かれていた

「まぁ、大丈夫ですよ。それよりお願いします」

保科は名刺を持ったままそう言った。すると医官である佐倉は「はい」と言い、倒れている男に近寄った……


東京本部、第一資料庫……

この東京本部第一資料庫は使いにくいことで有名だった、しかしそんな第一資料庫には監視部の高坂と対策部の元町がいた……


「高坂二等監視官。少々宜しいですか?」

先に話しかけたのは元町だった。そのとき高坂は他の監視官とは違い、別の仕事をしていた。なので時間も充分にあったため「何ですか?」と応えた

「いま監視部さんは調査をしてますよね?愛護団体の」

元町はそう聞いてきた。なので高坂は腕時計で時間を確認すると「はい。丁度いま行ってます」と言った。すると元町は周りに高坂以外の人がいないのを確認するとこう言った

「ここからは機密情報になります。なので広めるのはやめてください」

「機密情報をここで言っていいのですか?仮にもここは対策官なら誰でも入れる場所ですよ」

高坂はそう言った。しかし元町は「今から情報管理課の部屋に案内するのもアレですから。ちょっとしゃがんでもらえますか?」と言った。なので高坂は中腰になると元町が先程よりも寄ってきた。そして高坂の耳元でこう言った

「愛護団体に潜入した監視官が潜入捜査官からのデータを持っている……との報告がありました。なので愛護団体に潜入した監視官の名前を教えて下さい」

そう聞かれたものの、高坂はゾンビ愛護団体総本部の調査に関わっていないため、誰が潜入したか分からなかった

「すみません。私はその件に関わっていないため把握しておりません」

「そうですか。お忙しいなか有難う御座います」

元町はそう言うと軽く会釈をして何処かへ行ってしまった


『調査部との間で手違いがあり、間違って監視官にデータを渡してしまった…… そんな所かな』

元町がこの場からいなくなると、高坂は聞いた情報を元にそう考えた……

テロ対策は闇が深い!Emir

高坂蛍(こうさかほたる)

二等監視官

武器……拳銃

テロ対策は闇が深い!Emir

第一資料庫で高坂は突然元町に話しかけられる…… 『テロ対策は闇が深い!』の三十二話目!

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-07-15

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