さわがしい街の、どこかで、でも、きみが笑っていると思うと、なんとなく、生きる希望がわいた、ので、プラネタリウム、どうか、眠らないで。
 わたしたちがつないだ手の、指先から、交わす愛みたいなものは、生温いよね。あのひとは、真夜中の高速道路で、いつも、見えない誰かと通じ合っていたし、ドーナッツの穴は、結局のところ、覗けば、見たくもない何かを、見てしまうものだったし、動物園の、檻の向こうで、歌をうたっていた、あらいぐまは、でも、まぼろしじゃないんだ。二十三時の、クリームソーダ。神秘的だねと、微笑んだひと、ドラムを叩き鳴らして、ライブハウスの、ステージで、きっと、自分だけの神さまを、見ている。
 さわがしい街の、どこにも、もし、きみが、いなくなったとして。
 それは、星を失った、プラネタリウムに、等しく。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-05-30

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