いのちだけを待つ

いのちだけを待つ

   









千の罪科。僕はむしろ、希望を見出す。

明日の「おはよう」のなかに、どれだけのひとたちのいのちを覗くことになるのだろう。
きっと照れ屋ないのちもあれば、朝焼けに涙を飲むいのちもあるだろう。必然に、いのちは明日を迎える。

いのちの纏う罪科。今日の罪びとは明日の悔いびと。僕たちは何度も試す。何度でも試す。僕たちが尽きるまで。そして僕たちは明日の尽きるところをまだ知らない。

僕は「おはよう」のなかに尽きることのない明日のひとたちを守っていたい。

どんな朝焼けにも焦がれるひとたちの熱度がある。縛られた荒れ野からの咆哮を聴くだろう。僕になにができるだろうか。

僕はいのちだけを待つ。罪科を越えうるいのちを。

まもなく夜明け。




  

いのちだけを待つ

作者ツイッター https://twitter.com/2_vich

いのちだけを待つ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-05-22

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