珈琲

渡逢 遥

空に裏切られたように降られた

傘を持っていなかった

大雨の中をふたりで駆け出した

地下のカフェに逃げた

寒いね

大丈夫?

大丈夫

寒いね

マフラーに巻かれた首

マドラーにかき混ぜられた珈琲

苦いのは苦手だから

甘く 甘くしたよ

定まらない視線が宙を泳ぐよ

ゆらゆら ゆらゆら ゆらゆらと

あなたは笑ってた

あなたはなにも言わずに

どこかを眺めていた

わたしはそのどこかを知りたくて

あなたのことが知りたくて

珈琲に同じ時間を溶かした

珈琲

珈琲

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
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