君と僕の卒業式
なお 様よりリクエスト。
石丸清多夏 夢
春は出会いの季節だと誰かが言った。
けれど、出会いがあれば別れがあると言う言葉もある。
「…はぁ、…」
楽しかった思い出、悲しかった思い出、……そして、淡く甘い恋。
この3年間に出会った様々な気持ちを噛み締めながら、巴山さゆりは希望ヶ峰学園を見上げる。
今日は卒業式だった為、あちこちで卒業生と在校生が写真を撮ったり歓談したりしている。
「巴山くん」
「あら、石丸くん」
「…巴山くん、あの…」
「…なにかしら」
どちらとも無く、ほんのりと頬を染める。
石丸清多夏と巴山さゆりは、交際こそしていないもののお互いを好き合っていた。
好き合っていることは伝わっているものの、いざ口に出そうとすると緊張するようで、石丸は顔を赤くしたまま固まっている。
「…そんなに見つめられたら穴が開いてしまうわ」
「あっ!す、すまない!その、桜を背景に佇む巴山くんがあまりに美しくて言葉を失っ…あ、いや、その…!」
「…ふふ、もう…」
くすくすとさゆりが微笑むと、石丸もそれにつられて表情を緩める。
「す……好きだ、巴山くん」
「私も…好きよ、石丸くん」
「やっと君に気持ちを伝えられることができたことを嬉しく思うよ」
お互いに好き合っているとなんとなくわかっていたものの、高校を卒業するまではと気持ちすら伝えていなかったのだった。
「好きだ、巴山くん。結婚を前提に、僕と付き合ってくれ」
「えぇ…えぇ、石丸くん。喜んで」
2人はようやく結ばれるのであった。
✿︎❀︎
──数年後、ではなく、数時間後。
巴山さゆりは緊張で死にそうだった。
「ほ、本当に、いいんだな、巴山く…さゆりさん」
「え、えぇ、もちろんよ、石丸く…き、清多夏さん…」
高校を卒業し、恋人になれた。つまり、〝そういうこと〟をしても良いのだ。
そりゃ、本心は触れ合いたい。愛し愛されて、彼と一緒になりたい。
けれど、如何せん男性と交際した経験がないさゆりは、敷かれた白い布団を見るだけで声が裏返るほどに緊張していた。
「そ、それじゃあ、…その…め、目を、瞑ってくれないか」
言われた通りに目を瞑ると、少しの沈黙の後、唇に柔らかく熱い感触がはしる。
「っ、…」
これが口付けか、と理解するより前に、首筋に熱い指が触れた。
「ゃ、」
「あ、っ…すまない、その…い、嫌だっただろうか」
「違うの、あの、えっと…き、気にしないで、続けて…」
彼はこくりと頷くと、優しくさゆりを布団に押し倒してぎこちない手付きで制服を脱がせようとリボンを取り、ボタンを外していく。
「嗚呼、綺麗だ…」
淡い色の下着と共に白い肌が露わになる。清多夏は小さく呟きごくりと生唾を飲み込むと、そっとその肌に触れた。
「ん、っ…」
「や、柔らかい、な…痛くはないだろうか」
「大丈夫、よ…、っあ」
彼の指が、ツンと立った突起に触れる。
さゆりの体がピクリと跳ねて、甘い声が漏れると、その声に応えるように今度は親指と人差し指で軽くつままれる。
「気持ち良い、のか?」
「な、んか…ぞわぞわ、する、わ…っん、ん…」
恥ずかしさで顔から火が出そうになる。
声を我慢しようとするが、彼のくれる甘い刺激に身体が悦んでしまい、頭がぼんやりとしてくる。
「…此処も、熱く…」
「あッ、!?そ、そこは…」
胸をいじっていた手が下腹部に伸び、薄い下着の上から大切なところに触れる。
今までより大きな快感に驚いて足を閉じると、彼は困ったように眉を下げた。
「き、傷つけることはしない、だからどうか…さゆりさんの全てを、見せてくれないか」
彼の真剣な顔にどきりと胸が高鳴る。
「や、優しくして…ね…?」
「…あぁ、男に二言はない」
補足も逞しい腕が足をそっと開き、下着をずらして濡れた其処を優しく撫でる。
数回上下させ、ぷっくり膨らんだ突起を撫で上げると指を一本、ゆっくりと割れ目の間に挿れる。
「ひ、ぁ、っ」
「熱い…柔らかい、のに、きつい………すまない、痛かったら我慢しないでくれ」
「だ、だいじょ…んっ、ぁ」
傷つけないように、愛おしそうに、ゆっくりゆっくりと中を解すように指が動いてゆく。
その度に少しの圧迫感とぞわりとした甘い快感が背筋を駆け抜けて、さゆりは甘い声をあげる。
「さ、さゆりさん」
「ッ、ん、な、何かしら…っ」
「その、そろそろ…いい、だろうか」
「ふぇっ、あ…」
ふと視線を下に送ると、ズボンを押し上げるように彼の〝自身〟が主張していた。
「う、うん…っ」
「い、挿れる…ぞ…力を抜いてくれ…」
「は、い、っ」
彼の指が引き抜かれると、その代わりに熱く硬くなった其れが割れ目にあてがわれ、ゆっくりと挿入される。
「い、ッ」
今まで何者の侵入も拒んでいた其処が、初めて愛おしい人のモノを受け入れている。
そう思うと、粘膜がぷつりと切れる痛みも不思議と不快ではなかった。
「あ、ぁ…、ッ熱…さゆり、さん…、」
「き、清多夏さ、…」
「愛している、…これからも、永遠に…」
「っ、わ、私も、…私もよ、清多夏さん…」
2人で愛を囁き合うと、ゆるゆると腰が動かされる。
粘膜が擦れ合う感覚、少しの痛みと溢れるほどの愛おしさ。
最初は見つけられなかった快感が、彼が動くことで少しずつ中が刺激されて大きくなってゆく。
愛おしい。こんなにも愛おしい人に愛される私は、なんて幸せなのだろう。
真面目だとか、育ちが良いとか、超高校級だとか、今はそんなことは関係なく、
2人はただ愛する人と愛を育む。
「清多夏さん、…好き、…愛して、るわ…っ」
「あぁ、さゆりさん、…、さゆりさ…ッ」
ぞくぞくと背筋を駆け上る甘い快感が頂点まで達した時、同時に白くどろりとしたもので中が満たされた。
さゆりはふわふわと気怠い思考を手放すようにゆっくりと瞳を閉じた。
❀︎✿︎
「ん…」
「あぁ、目覚めたか」
「いしま…き、清多夏さん…っ」
数時間後、パチリと目を覚ましたさゆりは一瞬起き上がろうとするものの、先程までの行為を思い出し動けなくなってしまった。
「わ、わわ、私たち…」
「うむ、…その、なんだ、…さゆりさん」
「は、はいっ」
「……幸せに、するからな」
恥ずかしそうに、けれど優しく微笑む彼の顔を見て、さゆりは幸せそうに頷く。
きっとこの人となら、なにがあっても大丈夫なのだろう。
そう確信したのだった。
End
君と僕の卒業式