史実忌

死に絶えてゆく現代詩よ
不在の断罪よ
打たれるままに
翻された最後通牒の死亡統計よ
交された死体の束たちよ
赤錆びた軍隊のミニチュア国家よ
革命思想へ傾れ
永遠にその異議を蜂起し続ける逞しい瑞瑞しい死よ

不均整な夜景に黒い煙があがる
そこでは
今、
未だに空襲を鳩時計が燻る
二十世紀を売り払った
価値に価しない復讐を繋ぎ止める様に
美しい人体が球体を嘱望する

誰もが世界に降服を告げ、
孰れにも遁れられない
正統な検閲に拠る自由の為に
そこにはセラピーの一室があり
健康な
精神病に縁取られた現実像が顕れる
慰めに花が挿してある

健忘症、
従って鈍重な記憶が誰の記憶か判らなくなり
混線する
無人市街地の架線を亙る
座標を喪った幽霊達の飛翔が観測できる

醜い、絶望さえ絶望を述べるには、

史実忌

史実忌

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-03-25

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