知っていたかった色

はなれ

何にも、知らなかったのかもしれない。
僕は、彼のことを、あの薄暗い地下室でしか、見たことがなかったのだ。
彼は、自分自身と、僕のためにしか、ミルクティを作ったことはないと言っていた。彼は、ミルクティを入れるのが、とても上手だ。
僕は、あの部屋の中で唯一光っていた、ミルクの白を思い出し、彼の顔を直視することができないでいる。
安心できるスレートグレイだけを視界に入れながら、「どっか店入る?」と早口で言った。

知っていたかった色

知っていたかった色

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
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