人と神の超えてはいけない空間

この街は様々な神の話が語り継がれているのである。そして、この街では毎年その神々を讃え崇めるという意味を込めたお祭りを開き街の住人総出で楽しむ風習があった。それが8月25日である。なぜその日なのかは誰も知らない。神がこの街に降り立った日だというものも入れば神と話せる人間がこの日に祭りを開きなさいという神のお告げを聞いたからという者もいる。だが、本当のところは誰にもわからない。
桜井雅という小学3年生の女の子は1ヶ月ほど前にこの街に引っ越してきた。そして彼女は出来たばかりの友達から近々お祭りがあるということを聞いた。雅はお祭りというものにあまり言ったことがなかったため行ってみたくなり両親に相談した。
「ねぇ、ママ、パパあたし近々この街でやるお祭りに行ってみたいの。一緒に行こう?」すると両親は雅に笑顔を向けて「いいよ。行ってみようか」と了承してくれた。雅はとても喜んでその日はなかなか寝付けなかった。そして、お祭り当日雅と両親は雅の友達家族と共にお祭りに参加した。急にお囃子がなり始めると今までそこには誰もいなかったはずなのに大勢の踊り子さんや楽器を抱えた人達が出てきた。街の住人は皆一様に手を叩いて参加したりお囃子の真似事をしたりと大賑わいだった。しばらくしてお囃子もやみ踊り子さん達もはけて行ったため皆席を立ち家へと帰って行った。だが、雅と友達は2人で小さな路地へ入って感想を言い合っていた。
「雅ちゃんはこういうお祭り初めてだったの?」「初めて見た!すごくたのしかったね!」と2人できゃっきゃして会話しているとふと小さな笛の音が聞こえてきた。
それに気づいた雅は友達に聞いた「ねぇ笛の音がするよ」と言われて友達も耳を澄ますと確かに微かに音が聞こえる。だが妙なのである。もうお祭りは終わっているはずなのにしかも聞こえる音は笛の音だけ。気になったふたりは笛の音のする方へ行ってみることにした。
そして居場所を特定し誰が吹いているのか確かめると明らかに人間ではない何かが笛を吹いていた。
だが2人はお祭りの踊り子さんが遊んでいるのだと思い笛を吹いている者に声をかけた。
「どうしてここで笛を吹いているんですか?」その声を聞いてその者はこちらを向きこう言った。
「にんげんかみがおぬしらをころすよひとりふたりいけにえだ」と笑いながら言い出した。これを聞いた瞬間この者達は人間ではないと感じたふたりは一目散に逃げ出しお互いの家へ帰りこの事を両親に話した。しかし両親はそれを信じなかった。そんなオカルト的なことに興味がなかったためである。そして両親はお祭りを見て余程楽しかったのだろう。それで夢を見たんだよといい早く寝なさいと言った。雅と友達も夢だったんだと思いベッドに横になり眠った

人と神の超えてはいけない空間

人と神の超えてはいけない空間

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • サスペンス
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-03-15

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