Yuonより

Yuonより


人 人 人
足音 流れる 人の群れ

雨 雨 雨
雑踏 止まる わたしの足


歩まなければ

わたしの世界を


進まなければ

わたしが選んだ道を


足音 足音 雨音 閉じ込められた
世界の向こうへ 伸ばした手は拒まれて



漏れ聞こえる 誰かの声を拾う

拾い上げた手の上で消える 言葉

「死にたい」 「もう、たくさんだ」

「大好き」 「いつもありがとう」

「存在価値なんて」 「消えればいいのに」

手にしたら形を失う言葉を それでも 拾う



聞こえて います ちゃんと聞こえています

聞こえて いますか? 小さくうたうわたしの声が




雨 雨 雨 信号機の点滅

人 人 人 誰かの後姿 見送る


足元に広がっていく水たまりを
ただ眺めていただけ
立ち竦んでいるように見える わたしは


ここに居ます あなたと同じように
ここに ここに ここに 居ます

聞こえますか 聞こえていますか

あなたに向けて(うた)をうたっています




雨音 雑踏

人の群れ 遠ざかる 背中

Yuonより

Yuonより

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-03-04

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