舞い上がらんと

翼ひらめかせるように
両袖ひるがえし
少年が舞う

鮮やかな緑の榊(さかき)を捧げ持ち
舞庭(まいど)に敷かれた蓆(むしろ)を踏みしめ

その姿
風切り羽を精一杯に広げ
大空に舞い上がらんとする鳥のよう

額に締めた真っ白な鉢巻に
前髪がこぼれ落ちる
少年の眼差しは遥か彼方を見つめていた

全ての神々に礼を尽くさんと
その姿 激しく回る独楽(こま)のよう

神を迎えた少年は
榊(さかき)を手に
憑かれたように舞い狂う

やがて
大きく翼をはためかせた少年は
天高く飛翔した

舞い上がらんと

舞い上がらんと

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-02-21

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