何もないもない

沙山 雪 作


曖昧の中に浮遊する光はわずかに

この目で見えてもこの手につかむことは

とても難しいから消えそうになる感触を

忘れないように逃さないように

わずかな光をじっと目で追うことしか

できなくて哀しくて泣いてしまったら

曖昧の中に涙がとけてゆきそれさえも

この手を濡らすことはなくすべては

何もない

のかもしれないことはとても哀しくて

何もないもない

のかもしれないことはもっと哀しくて

せめて曖昧が消えてしまわないように

ただただたくさんの涙をとかしてゆき

その光と涙に触れる日を願いつつ

何もないもない

何もないもない

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2019-01-09

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