煙草とお父さん

沙山 雪 作

ヘビースモーカーの
お父さんの子供だもの
煙草なんて余裕で吸える
と思った18歳の冬に
ませた歳下の女の子に
勧められるがままに
冷気と一緒に吸い込んで
むせて泣いてそして慣れて
匂いが嫌いになって
20歳でやめた煙草

てるてる坊主は嫌い
首つりふらふらの
お父さんだから
苦しそうだもの
明日は晴れるなんて
思えないんだもの

首つりふらふらの
お父さんの子供だから
刃物は怖いの
ビルの屋上は怖いの
駅のホームは怖いの
踏み切りは怖いの
横断歩道は怖いの

ふと背中をぽんっと
押されて逝きそうに
なる誘惑にかられそうに
なりそうで可哀想に
自分が可哀想に
泣きそうに

煙草を吸うお父さんは好き
煙草の匂いのお父さんは嫌い
首つりのお父さんは大嫌い

何処をみているの?
何故笑っているの?

お父さん昨今はね
愛煙家は嫌われ者だよ
電子たばこっていうのが
主流になったんだよ

煙草を吸うお父さんは好き

だった

睦月の命日に会いにゆくよ
一緒に煙草でも吸ってみようか

煙草とお父さん

煙草とお父さん

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2019-01-05

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