*星空文庫

第8話-11

米澤 作

11

 荒い水の中での呼吸は、ビザンの顔の周りで水流をつくり、その青く不安の色に染まった元は白い顔を、不安げに染めていた。

 ビザンの前にはティーフェ族議長デガタが水分子を固めた、白い椅子に座っている。軽い青色をした顔は、自分がしてきた行為が徒労に終わったことに、愕然としていたのである。

「議長、何が起こったのです」

 興奮気味にビザンは叫んだ。議長室に居合わせた他の議員たちの顔にも沈黙と、青色の不安が顔を染めている。

 「昨日、ジュヴィラ人宙域内でクーデターが発生した。軍部が中央政府各施設を占領、大臣たちを殺害し、同日の翌朝、首相を公開処刑した」

 まさか、とビザンは口を水の中でアングリと開き、当惑した。

「昨日のお話では、首相は派閥の鎮圧に全力を尽くすとおっしゃっていたではありませんか。これでは話が逆です。首相が、公開処刑など、そのような、そのような――」

 困惑で声を荒げるビザン。

 すると背後にいた議員の1人が彼を落ち着かせるべく、水分子を固めた椅子を彼の後ろに起き、ゆっくりと白く長いティーフェ族独特の指を肩に乗せ、彼の興奮を抑えるように座らせた。

「ジュヴィラ人の政権は完全に軍閥に支配された。ワシに手駒はもうない。交渉の回線は切られたのだ」

 なぜ。ジュヴィラ人領域ではなにが起こってる。ビザンは漠然とした不安が胸の奥をかきむしる。


第8話-12へ続く

『第8話-11』

『第8話-11』 米澤 作

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2018-12-06
Copyrighted

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