月見。

電気が煌々と闇夜を照らす。

照らされた街々はすでに闇ではなく。

それは昼間と見間違うばかりに。


月は上から街々を眺め、

あぁ。自分の役目は終わっているのか、と。

苦々しく思ったけれど。


地面が黄金に染まるころ、

それでも月を見上げ、

無邪気に笑う子らを、

無心に手をあわせる老を見るにつけ。


そうだろう、そうだろう。


と、誇らしげに天へのぼった。

月見。

月見。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-10-04

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