半透明の

硬直した感情。
は、掘り起こされるのを良しとしない記憶に似ている。
「わたし」の中に留めておきたい、何光年も先までうずめられた化石でいたい。と、延々と繰り返す、恐らく悲しみだろう薄らぼんやりとした感覚に溺れていく。延々と延々と繰り返す、同じ場面ばかりを。頑として進まない時計の針。が、左胸に刺さる。
分化しきれなかった喜怒哀楽。
を、表現するために、掴み易い四分の一を借りる。
分類は心地よい、けれど絡まり付いていた雑多なもの、上澄みや汚れのようなものを捨て去って見えるのは何か。所詮はいっときのものだからと言い訳をして捨象を施す。視界は白黒で染め分けられるはずだと宣いながら。
指針、学んだ通りの星座。
それらは指でなぞることのできる二律背反で、今日の好きは明日の嫌いだ。
色水のように混ざり合った悲しさも楽しさも一夜眠れば消えていく。自家撞着が依存していく、納得が欲しいのなら知らなければ良かったんだ。厚く層をなすことばと共に珪化するまで、そう遠くない。
波の合間に漏れる音。船体にぶつかる音。
当たって散る白のハワイアンブルー。
海の端に潜んだ鈍色の闇、照らされたさざめき、動かない雲。ライトの三色は呼吸の間合いで反復する。
誰に教えられたでもない感情の話、擦り減ったあとの愛想の話。
最後には雨粒を模倣して溶けあっていくその全部が仮定だ。
嘘と夢との違いも分からない、きっとたゆたう薄暮まで。

半透明の

半透明の

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-11-29

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