行軍

暮れる山道に列を成し ひたすらに登り坂
歩けど歩けど 距離縮まらず
背負った背嚢は まるで十字架みたいで
走馬灯のように駆けめぐる 思い出 想い出
それらの罪状は数知れず
足を引きずって歩くのは 転ばずに前に進めるから
ゆっくり ゆっくり確実に
起き上がれる自信がない
訳じゃないよ
たぶん、きっとね

太陽じゃ眩しすぎて 星じゃ少し心もとなく
身勝手に優しさを求めて 月に片想い
どうせ僕らは日陰者
お金が貰えれば喜んでピエロを演じるよ
滅私奉公 見返りはなく
僕らはそれでも笑顔で手をふる


顔を上げて 目が合った三日月に苦笑い
まあ もう馴れたよ 見下されるのには
お陰で上を向いて歩けるってもんさ
そんな自虐的な被害妄想で自分を奮い立たせる
願わくば もう少し あと少し
明るくしてくれると助かるかな
もう 同情でもなんでも良いからさ
足を引きずって歩いても つまずいたりはするもんさ
どんなにゆっくり歩いても
その度に 立ち止まったり しゃがんだり
両手に持った小銃に 意味を見いだせる日が来るのかな
守れる自信がない
訳じゃないよ
たぶん、たぶん……


太陽じゃ眩しすぎて 星じゃ少し心もとなく
今日みたいな月がお似合いなのさ
どうせ僕らは日陰者
お金が貰えれば喜んでピエロを演じるよ
滅私奉公 見返りはなく
僕らはそれでも笑顔で手をふる

行軍

行軍

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-11-18

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