Have a nice day

ある日本人が旅行中の海外で道を渡ろうとすると「危ないです」の叫び声に振り返ったら、背後に迫った車に危うく轢かれそうだった。
声をかけてくれたのは地元の住民で感謝のお礼を言うと、首を傾けた住民はまったく日本語が通じない。
そんな場面に遅れてやってきた英語が話せる日本人の友人が会話に加わった。

友人曰く、「ただ道の反対側を歩いていた住民の友人に『ごきげんよう』と挨拶しただけだ」と。

つまり日本人は「Have a nice day」と発した言葉を「危ないです」と聞き間違えた、という笑い話だ。



後日、彼の帰国前に日本人仲間で集まった食事会でも笑える話として、盛りあがった話題だったが、悪ノリした日本人の1人が言った。

「もし、俺たち日本人が互いの会話で『危ないです』と叫んでいたら、地元の住民が『Have a nice day』と反応して振り向かないか?」

それは面白いから実験してみようと彼らは大はしゃぎする始末。そして、食事会は終わり、気分よくレストランを飛び出した彼らは、帰り道を広がりながら歩き始めたのだった。
まだ真夜中ではなかったから人通りは多少あったのだ。

──しばらくして、地元の警察に緊急通報が入った。

『酔った日本人たちが日本語で『危ないです』と叫んでいる。事件かテロでも起きたのか?』と。



良い子のみんなはもちろん、悪い子のみんなもマネしてはいけませんよ。

Have a nice day

Have a nice day

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-11-14

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