壊れた魔法少女

 「一度壊れて気がついたことは、この星の文化では、傷ついた人間はいきていけないということ」
 悲しそうに、それでもどこか狂気じみたまっすぐな笑顔で、たんたんと彼女はわらう、そう——彼女は一度こわれていた、壊れ果てていた。壊れ果てた人間は、人を遠ざけ、そしていつしか、復讐の準備を始めていた。

 傷ついた人間の傷は、健全な人間にとってみにくく、恐ろしく、異形なもので、彼女はそのときよく黒い猫やカラスにばけていた、ゴミや人間の生活圏をあらすかれらは、街や世界のきらわれもの、だけど星にすら嫌われていただろうか。

 「しかたないよ、原因じゃなくて結果、そうじゃなきゃ、健全にいきていけないから」

 そうやって彼女はわらう。笑顔の向うの心はわらっていない、それでもあのときよりましだと彼女は笑う。彼女自身、そのとき、自分が、魔女の末裔だったことを信じたくなかった、それがばれたらきっと、自分の母や、自分はきっとものすごい差別をうけるはずだから、だから彼女はまだ若い高校生だったというのに、くるって、友人も、学校も、あらゆる人も拒絶した。人を傷つけないために動物にばけて、街をあらしまわった、そんな彼女の姿をだれもしらない、同じく魔女の末裔でありながら、莫大な資金力と、家柄の力によって、それを隠し続けることのできた、僕とは違う。

 やはり彼女は差別された、人間はやはり人間だった。彼女が結末をしってくるって傷ついていても、その傷をあとにも先にも醜いという。それを見越した彼女を傷つける、彼女はすべてをしっていて、それでも今度は笑うのだと、唯一の友達の僕にいう。

壊れた魔法少女

壊れた魔法少女

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-10-18

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted