リマインドマン

 僕はある日、透明な体をてにいれた、よくある透明人間になって銭湯、更衣室を覗くとか、有名人に会いに行くとか、知らない土地に旅立つとか、そんな事はしなかった、その体は、僕の悪魔的実験によって、過去に飛ぶことができたのだ、きっと後々の人はこういうだろう。
「タイムマシンにはじめてのったのは○○さん」
○○さんは僕じゃない、それは代替可能な何者かだ、僕は一番初めかそうでないかにとらわれない、僕は常に意味にとらわれている、でなければこの悪魔的研究で自分の部屋を、魔術の紋章によって電化製品、家具ごと真黒にそめあげたりはしなかっただろう。ここまではありがちじゃなかった、それは、僕の才能と僕のもってうまれた人生の役目を僕に教えているかのように、何事もが万事うまく成功して進んでいた。ここからが、ありがちな展開なんだ。

 僕は過去に飛ぶことができた。確かにとんだ、飛んだ記憶があるからだ、そういえば、科学雑誌でみたかじっただけの知識では、量子より大きいものは、量子テレポーテーションもできないし、タイムワープもできないそうだ、その通りだ、僕は過去の僕にだけ会う事ができたし、刻みたい痛みや、覚えておきたいことを思い出せた、それがたった一つの収穫だ。

 だけど考えてみてほしい、もし将来、人間のタイムワープが可能になったとして、ひとつ、記憶が刻まれる、けれどやはり、過去は変えられない。意識だけだ、それも自分只一人の意識だけしか変えられない、それほど過去を大事にする人間が、これから先の未来に生まれるだろうか。

リマインドマン

リマインドマン

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-09-25

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