夢想メール

 亡くなったからからの連絡を受け取るという話がある、じゃあ逆は、と思ってこの話を探し当てた、友人の友人のそのまた友人の話。
 5年ほど前のこと、小学生だったその人は手芸が趣味で小さな自作の人形やらをつくっては家族にみせたり友人にくばったりして遊んでいたそうだ。その人の趣味は家族も、彼女が大好きで、彼女のこともだいすきだったというその人の祖母は、だれよりもその趣味を応援していた。だけどひとつ約束があったそうだ、夜中7時をすぎてからはその趣味をやめて手伝いや勉強にはげむこと、彼女は大きな家の中で家族のだれよりも祖母を尊敬していたし、祖母がむかしそういう商売を少しやっていたこともしっていたので、理由は聞かずに約束を守る事にしていた。
 祖母は、その年の半分すぎたあたりになくなったという、だが、祖母がなくなったころ、その少し前に彼女は約束を破ってしまっていた。それがいつまでも心残りになっていた。なくなって数カ月たったと思われるころ、休日、一家団欒の昼食の最中に母にその話をすると、母も祖母から同じような事をいわれたことがあるといっていて、母いわく、
「あなたのおじいさんが亡くなった日の夜に、母さん、7時すぎまで、めずらしく裁縫をしていた、古くからの迷信や言い伝えも、私たちに言って聞かせる人だったから、きっと悪い事があると思い込んでいたのよ」
 という事らしかった。彼女は、祖母の死に自分が約束を破ったことが関係しているとすれば、それがあまりに後悔だったのだが、つい最近、夢か現実かさだかではないらしいが、友人の友人のそのまた友人、その人の夢枕にお婆さんがたち、あらわれて、煙の様な姿の中で、彼女がいつも枕元においておいた手紙を指さし、それを彼女に読んだ、と告げた、そしてこう続けた。
「あれはねえ、虫のしらせなのよ、お母さんは、すぐに裁縫をやめたけどあなたはつづけた、だから私の死に目にあえたでしょう」
 そういえば、あの時期、塾や習い事など忙しい時期で、そんなときでも裁縫だけはやめなかったし、お婆さんもいつもその様子を優しい瞳でみていたな、とおもった、お婆さんはすぐに消えてしまったそうだが、声だけが残り、彼女に最期にこんなことをいったそうだ。
「あなたはなんでも習慣づけていたから、信じていたのよ、これからもがんばってね」
 ひたすらにいい話しだったと思った。

夢想メール

夢想メール

幽霊のでる話ですが怖くないと思います。暖かい感じにしたてました。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-09-17

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