青い雲だけが物語でした

青い雲だけが物語でした

短歌十首。

   



   



   

  



   



   



 



ひとをしくじって

子どものころの歌を聴く黄色い光のながれ




歌がぐるぐる駆けゆく

レモンが うずくまって約束を待っている




薔薇ソースを

添えて

詩に出会えた林 眠るひとは

オムレツを焼く




ころころと 雨粒

だれかの足あと 消してゆく

次の運命へと




さだめをコップに詰めて泣いた

ミルクセーキをかき混ぜた空の下




なつかしい声に

色が染む

目覚めたら聴こえる新しいプリズム




おまえは怒るかな

手紙をいれた箱のうえで ぐるぐるねむる猫




山のうえから降りゆくかすかに青い雲だけが物語でした




「かなしかったの?」

「ちがうよ。まだねむいんだよ」

     にじんだ眼で語りあう日




錠剤の白

あのひとのいない透明に埋める 雨だれの鬱
   



   



   

  



   



   



 

青い雲だけが物語でした

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青い雲だけが物語でした

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-09-12

Copyrighted
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