五時のチャイム

五時のチャイム

短歌十首。

   



   



   

  



   



   



 

おまえが遺してくれたおれが

生きられたら うれしい

死ねたら うれしい






ひとを編んで

いくつもの夜から

たどりついて たどりついて いつかを






鮮やかに映るままが

かなしくて

うっすらぼやけて

すこし幸せ






本当にかなしいのは

こんな夜の かなしい理由さえわからずに






思い出すことをやめて どんどん思い出す

迷って

深くなる 





フィルムが凍えるように

オムレツの一切れも おまえの言葉の染み






夜にも朝にも灰色のしじま

足を抱え込む

小さいわたし






こんな夕刻が

懐かしくて残酷で

かなしみは

ひとを選ばず






むかしを細くして

こころを遠くして

からからにして  五時のチャイム






忘れ去るだろうか

生きるために

     夜  は

     形見で    

  やさしかったあのひと
   



   



   

  



   



   



 

五時のチャイム

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五時のチャイム

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-28

Copyrighted
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