能の舞い

能の舞い

月明かりの夜に1人で少女が森へ行くのを見た。その少女は目が眩む程の美しい白装束を着ていた。その少女は何をしにこんな夜の深い時間に、森の中へと行かなくてはならないのか。少女は1人で広大無辺な宇宙に向けてお経をあげて祈りを発していた。魂の美しい救いを求めている。
森は青き精霊の住み処であり、人間を超脱した宇宙がそこにはありました。
宇宙は何か青白い炎を発して、生命の灯を讃えている。このように気の遠くなるような美しい生命、もうこの世に存在できないのではないか。
夜空を一人見上げて思う、私は気の遠くなる彼方へと癒されて選ばられた夢の虹の橋を架けた。

心は暖かい春をこれ程まで待ち侘びているのに、夢の中でのみ、いつも恋は達成されるのです。
こんな寂しい気持ちでふわっと一人孤独の中に移ろいゆき、夜空の満天の星々を見上げた。
ああ、私には人間の心というものがわからないのか。もう人生の春は、この心の中に存在していないのか。
心のみそらの熱き憧景に思い焦がれる期待。そして何かとてつもない巨大な生命に守られて愛されている実感。
森には蛍がまばゆく飛びかい、心には星々の140億光年の個性が澄み渡るハーモニーの飾りつけが行なわれた。
この深められた心の原初状態は、次元の数を増加させて、人々に訴えかける明星の煌めく才能となった。
私は新緑の美しい若々しさで、人生の春を復活させた。さわやかな心に輝いた白い光に逸する夢の物語。
あなたは夢の物語を信じますか。夢のまた夢の中に清新さが駆け巡り蘇生する、生命の青い筋書きの無駄の全くない完成形。
私は夢の物語を叶えようとしている。この世を逸脱した満月の運行は、静寂で啓示的な真理があった。
少女は森に行き1人ぽつんと立っていた。森に住まう仏の純朴な御手で、清楚なお教をあげて陀弥陀如来の降誕をお祈りする。仏の御光に脱した細胞のセリエが蘇生した。
この細胞の組織が清らかに三途の川へと応答をしている、あの世の霊にお祈りする仏との奥の間の説法。
私の次元の彼方に少女は存在していた。
少女は両手でお祈りをして、仏からのお守りの寵愛を授かり、大舞台で美しい能を披露した。
少女は誰かと一緒に立ち並んで、能をひそやかに披露している。それは今思えば森の精霊の化身だったような気もいたします。
少女の肉体と精霊の美しい御心が一体となり舞いを奉納する。そこに不思議な命題を課せられた少女の心身の完全な解決があった。
その解決への美しい舞いの光の中で、森に飛翔する不思議な蛍の遠く彼方に広がる灯火の淡い優しさ。
静まった森に人間では感覚できない感性の輪廻転生が囁いた。
この世ではないあまりにもの美しさに太陽と大地、木々や鳥や蛍は恍惚として魅せられていった。
神妙な理性がまだ届かない少女の心に、雨の慕情が濡れる色気をしっとりと感じた。
少女が仏性の顕れを微かに感じ取ったのです。宇宙の広大深遠な物質とのやりとりができる心は密やかに動き始めたのです。
仏の御心に支えられて、どのようなお祈りの言葉を申し上げるのか。
月光のほの白く輝き佇む森には、豊かな生命の清らかさを回復させて、気持ちを全く新しくしていった。
そのお祈りは天への美的な天体移動の彼方に飛翔するお経なのです。
森は清らかな仏と関わり合い生命を新しく解脱させて代謝し還らせている。そして地球の水は大きくダイナミックな移動をし始めた。
天体の輝きは相互性のシンメトリックなフォルムで、あの世での天女の飛翔に似た、軽やかな蓮の仏性的な円満を迎えさせた。
満行する少女のそこには、仏の心がさわやかに、奥深い能の奥義へと脱していく秘めた宇宙があった。
この仏体は天空に翔ける乙女の麗しい女心にきらめく御大となりました。
御子の仏体を大事にたずさえて、母は優しく慎ましやかに今安居するのです。
何の見返りを求めない功徳を積む乙女が羽ばたく天への煌めく憧れ。
宇宙のさらなる高次元の、さらなる先の宇宙へと行かせる。仏との交わりを持つに至った偉大な天性を発揮して、創造を行う女心があった。
仏様は乙女にどのような物語を提供する心づもりなのでしょうか。何か大きなものを備え持つ乙女が創造する全く新しい仏性。
地球上に宇宙がダイナミックに動向するこの事象とは、一体何者の心遣いで行われ、なんて生命が可憐に交わる優しさなのでしょう。
乙女は優しい森の中で安心し、新しい生命との対面を期待して待ち憧れていた。
森の中の清明な不思議で解読できない、天に突き抜ける仏の清らかな心。
この水脈のみずみずしい流れに、心とは一体何なのかを教えられ還らせた原始の水があった。
仏の教えはいとも簡単に、心の宇宙原理のなすがままの方程式をスムーズに奏でる。
私の方程式の中には、宇宙の創造が確信されていた。そこには精霊が見守る盛大な蓮の天体運動があった。
広大深遠な天体移動はもうすでに真理を知っている。
でも乙女心はまだ知らない。そして私にあの世への行き方を教えてくれました。これで私は解脱できたのです。あの世に心より憧れています。そして私は自然に還っていくのです。

能の舞い

能の舞い

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-25

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