天女

天女

1人山に登っていた。そこにこの世界を解脱した美しく己を克する修業僧が、一人己と向き合い歩いていた。
うっそうとした山で孤独に自己と向き合う、この世界に仏の存在を確認するため、日々人間の営みの有り方を追求しているかのようだ。
その修業僧の心の無我を、感情に内蔵する仏道の修練に感化する人間的な暖かさ。この人の後姿に母なる青き地球の大きさ、懐の暖かさ、仏の奥の院へと行き着いた偉大な心情の吐露があった。
宇宙に漂う美しく澄んだ仏性の根元を感じます。宇宙との対話に励む修業僧の心は、お教の朗々とした響きの抽象性でぼんやりと身を委ねる己との対話。
この世では感じることのできなかった遠く彼方の宇宙の懐かしさ。そして修行僧の己を信じる心の力強さに新たな創造性を感じて、心は禅定へと至る安らぎに満ち溢れていた。
こうしてあなたと二人でいることの不思議。修行僧は私に仏の道を話し掛けた人間の解脱したみそらの心情で。
私は清められていき心は移ろいゆくお教の輪郭の安らかさ。
この人と一緒に山を登り見上げると世界的な青空があった。広がる山々の緑の自然は修行僧を歓迎する大きな慈悲の心があった。
私の心は天空へと一直線に向けられ、無駄な人生の事柄は全く無くなった心の新たな創造性を生成する。
修業僧は月光に照らされて体を華麗に変身させ天女の姿へとなり、心情の微かなさざ波に揺れる。
そして両手を広げ青空に浮遊し初めて私と正面から向かい合い、この世のものとは思えないように優雅に解脱をしていった。美しいものだけがただ現世に存在する、天女の心は清められた先にある微笑にほどけて、優しい気を与える慈悲の青いみそら。
私に向けて愛らしく青空を浮遊して、魅了されるその舞姿の可憐さに、揺らめく心象体に朧気に変化する解脱性の夢。
舞台上で仏へ捧げる舞いを、天女の心はただ無心となり優美な形状を描き宇宙創成の時を迎えた。
可憐な手つきと美しい肉体で醸しだす女性の豊艶で柔らかなシルエット。これは、天女だけに与えられ許された唯一の光明。
肉体が解脱し得もいわれぬ身軽さを得て天女と一緒に踊り戯れ、無心に仏の澄み渡るみそらを体で感じた。天女はその両手を大きく広げて舞いを仏に捧げる清楚ないでたちをしていた。
上昇していく宇宙への期待。私の心は籠の中から出た鳥となり、もう遙か地球上空へと広大深遠な宇宙の平安な精神を得た。
ただみそらだけが広がる青く広大に澄みわたる人間を解脱する仏の無心。体を広げて全身を宇宙と同化させて、無の境地で母胎の安らかな鼓動を感じる。
仏の御姿の清き行い、諸行無常の青空へと変化させていく、意識の水々しい流れの解脱。
天女と私との山の頂へ向けての旅は絶頂を迎えて、仏像との対面へと誘う。
その厳かな表情をした仏像に手を合わせた。広大無辺な人生解決に感謝の気持ちを顕わにする。
宇宙が創成された時からすでに天女は誕生されており、人間の悟りは約束されていた。
そして天女は修行を満行して嬉々とした佇まいで自尊心を持ち泰然としていた。
全ては宇宙に感謝しなければならない。山頂の上に無限に広がる天から一筋の光明がぱっと指して来ました。
その光明はまさに現世の解脱的な仏光の啓示。私はそこに仏様の姿を見ました。
仏様の人生模様を映し出し、生きてきた意味を私に教えた不可思議なお教の囁き。
そのお教により全ての人生の意味を知り、無心となった夜明けの解れた光が指した天地に、にわかに人間が創造されていく。そっとその仏像が手を合わせた。
そして、山頂に大きな虹が掛かり、大仏の慈悲により全てが母胎へと還りました。
美しい銀河が冴え広がり、異次元の無心で成就させて肉体は逸していく。突き抜けて澄んだお経は響き渡り仏のもとへと帰郷する。
自然に宿る仏は大らかな心で私を歓迎してくれた。
壮大な期待の癒しに安らいで満ちていく宇宙。ついに誰にもわからなかった仏様の世界に行ったのです。
人間とはどのようにして生きるのかとの問いに答える。
最も意味のある解答を得たこの解放感で自然界に解き放ち、肉体の細胞は一つ一つ真理を知り、私は一体何処から来たのかを教えたのです。
遥か彼方にお教の解脱の世界が広がり、安穏とした平和な夜明けが、静かに平明な意味に深い時空の悟りを教える。

天女

天女

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-25

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