不思議な飲み物。

遡る事一週間前、当時高校生だった俺は、母校の……高校のある噂で裏手にある廃屋に“髪の長い女”が出ると噂になって、僕らは友人3人(話手入れて4)と行くことになった。深夜がいいと午前二時にそのある一画でまちあわせた。友人の中のAは僕と一番仲が良く始終ふざけていたのだが、そこはかつて病院だったらしく、詳しい事はわからないが、建物自体も結構おおきく、二棟あった。

ここからが不気味なのだが、Aと俺、そしてほかの二人でグループを作り、AB棟別れて探すことになった、建物は真逆のL字、Lの底辺が俺たちじゃなくいわばCとDのグループが探すことになった、僕でもAでもなく。俺たちはそのころB棟ーー待ち合わせに利用した正反対のL字の縦の塔——そのA棟と一番離れた突き当りをさがしていたのだが、A棟からもう一人のグループ、つまりほかの二人の声がした。時刻は、待ち合わせに少し時間をくったので2時40分あたりだったろうか、その中に女性はいなかったのだが、甲高い声で悲鳴があり、俺とAが駆け付けると、髪の長い女ーー噂通りの人影ーーをみたという。それで急いで僕らは、この下が怪しい、とあまりに二人がわめくものだから、階段を降り、またB棟と真逆の突き当りの一階へ行くことになった。なぜか、そこには病院の入口があったのだが、お笑い事なのだがなぜだかその突き当りに自販機があって、自販機の電源がついていた。
「おい、これ普通に人がいたんじゃ」
と太り気味のC
「それじゃ、さっきの女は、でもこんな時間に女性なんているか?」
と筋肉質のD
平均的容姿のAと俺はひとまず、近くのファミレスで総括しようともちかけた、だがCとDは納得いかないらしく、その自販機でいくつか飲み物をーー一人一つーー購入してみる事になった、なぜか自販機の販売されていたものはすべてコーラであり、しかし、出て来た飲料のラベルはすべてはがれていた。
「なんだあ?これ」
「さあ」
ぐびぐび
「あっ」
Aが止めるのを聞かずに飲み干す二人。
「落ち着かねえなあ、これ、気分が変になってくる」
筋肉質のDがそんな事をいうので俺たちはその飲み物がおそろしくなってそこに置いてきたのだが、後になってわかったことだが、その中身はチューハイらしかった。

廃屋のさらに裏側にある有名なタレントの代豪邸があった。タレントだとか豪邸だとか、基本的に周囲の人間というのは、気を使って近寄らないものだ、近寄らないどころか、言われるまで思い出せない事さえある。だから二つの話はあまりうまく結びつかなかったのだろうが、あの時ながれた噂の髪の長い女とはその屋敷の次女で、まだ18歳でありながら、甘い―—チューハイの味にほれてしまい、誰も気がつかないだろうと廃墟に自販機を、屋敷でやとっている人間の手をかり、設置して、冷蔵庫には置いておけないのでそれを冷蔵庫代わりに何個か冷やしていたという、都会のぶっとんだお話でした。

不思議な飲み物。

不思議な飲み物。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-19

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