8月14日


悲しいことだけど、おれは もう二度と クイーンの ライブには行けないし、生身のフレディ・マーキュリー を見ることもできない。 おれに 出来ること と言えば、画質の悪い プロモーションビデオ を 眺めて、 おれも こんな風になりてぇな って柄にも無く 願う ぐらい。

おれが 樹脂粘土で作った 顔の無い女の人は足首から先が折れていて、おれ が巻きつけてた紙のテープも 折れた足首のところに ちぎれたヤツが ぶら下がっていて、風にユラユラ揺れるだけ で、足の方は どこに行ったんだろう。ナイスバデー なお姉さん系に 作った、両胸の間の エロい溝が 特にこだわった部分で おれのお気に入り こんなに綺麗なら 女の子になってみるのも 悪くねぇかもなぁ、って思ってたり なかったり。

なんだ、おれ、結構 なりたいもの いっぱい あるじゃん。まぁ なれないんだけど。

おれ はミュージシャン も、画家も 小説家も 詩人も、尊敬しているし 愛している。彼らの おかげで おれは どれだけ 体調が悪くても 重い罪に 殺されそうになっても 残酷な気持ちになっても 正気を保てている、芸術は いつも おれの言い訳と 逃げ道を 作ってくれて おれは 浅ましさに 死にそうになっても やっぱり、薄汚れた イヤホンに 控えめな音量で流れる キラー・クイーン を愛してる。

8月14日

8月14日

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-14

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted