泣けないほどの寂しさなのです

泣けないほどの寂しさなのです

短歌十首。

  



   



   



   



   



   



 

ひとをなぞる

淵に添いながら まどろんだまま 

       見つけられないように




「おまえの言ったかけがえがないってのはこんな人生でもいいのか?」




ただひとりに

消えゆくように祈った

飲みほす前のコーヒーの底




すこしだけ気分がいい

楽に生きる

おまえが願った

楽に生きる




おまえをかけめぐりゆく  おまえからの生死   おまえを歌える遺跡




永い眠りへ 一番やさしいわたしで おやすみを灯したその日




傷ついたいま

編んでゆく

懐かしく古びて傷ついた道すじで




ありがとうね

たとえどちらが先に 眠りへと たどり着いたのだとしても




かけがえのない

一つ

おちる

泣けないほどの寂しさなのです




「ごめんね」より

「ありがとう」を

「さよなら」じゃなく

「おやすみ」を


             歌えるように
  



   



   



   



   



   



 

泣けないほどの寂しさなのです

作者ツイッター https://twitter.com/2_vich

先端KANQ38 ツイッター https://twitter.com/kanq3
先端KANQ38 公式サイト https://neuedada.wixsite.com/kanq38

泣けないほどの寂しさなのです

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-08-04

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted