冷たくなった君
愛されたかったよね…
「慶ちゃん」
優しく俺をそう呼んでくれた君は冷たくなってしまった。俺と君しかいない、二人っきりの場所で。
いずれこうなることは分かっていた。だって、あの日、俺を見つめながら告げた言葉は、あの日の君の表情は本気だったから。
ゆっくり、倒れている君に近づき座った。優しく頭を持ち上げ自分の太腿にのせて優しく頭を撫でてもピクリともしなかった。
「シゲ……」
艶やかな黒い髪や端正な顔立ちは今にも動き出しそうなくらい美しかった。
なんで、目覚めないの……?どうして……と心の中に疑問と負の感情が回り始めた。
気持ち悪い。楽になりたい。嫌だ嫌だ嫌だ!
唐突に周りに置かれていたカラフルなビンが割れその大きな破片が、俺の心臓を貫いた……。
窓のない図書館の一角。カラフルなガラス片に囲まれて倒れている2人の男がいた。
天井にぶら下がった蝙蝠はどこか寂しげにそれを見ていた。
愛されたかったよね…よかったね……。
冷たくなった君