彩、教師の自殺

アオブミ高校生徒会のあるバーベキューパーティにて事件はおきた、高校から10キロほどあるとある田舎の村の、川べりで、キャンプ場をかりて、
男女5人で3日宿泊することになった。
男子は、教師のサイトー、彩の兄くるる、いつもぼーっとしている、テル、それから書記の彩、生徒会長のフローレンス。
順調に事は運び、男子たちはひたすら虫取りやら川遊びやらバカ騒ぎをしていたが、
2日目の夜に事件はおこったのだ。

「先生が帰ってこない」

貸別荘の中、
そんなこをといいだしたのは、テルだった。
男二人は急いで捜索を開始する、そもそもこのあとまだスケジュールに肝試しが残っている。
教師がいなければ、怖い演出がものたりなくなる感じがした。
副会長のくるるは躍起になっていた、
そこで、サイトーの首つり現場を目撃したのであった。
はじめにうたがわれたのは、彩だった。

「新任教師のサイトーが好きだといっていたじゃないか!!」

となぜか兄のくるるが彩につめよる、ともかく二人はキャンプ場に戻ることにした、
とはいえ、場所を覚えておくために、リュックをおいていったのだ。
帰ったあとも彩がみんなにせめられた。

だがフローレンスだけが、彩をかばっていた。

「勘違いもありますよ、きっと」

「勘違い!?どういう意味ですか」

「言葉の綾です、私は彩さんをかばおうとしただけデース」

フローレンスは彩をかばおうとした、
そして彩は一人、言い返す、そして一人、その場所へと飛び出していったのだが……

「皆、フローレンスさんの事も、先生のことも私がすきだとしっていて、応援しているのをしっていて、ひどいよ、
 禁断の愛なんだから、いやだったら私がすべてはなせばおわったのに、書記だからってばかにしないでよもうしらない!」

バタン!!
そうして、貸別荘をとびだしていったのだった。

男二人、そしてフローレンスがあとから遅れて到着する、叫んだのはテルだった。
「リュックリュックがない!!」

目印においていったリュックがなくなっていた。
そして、彩の姿もなくなっていた。
しばらくすると近くの茂みでごそごそ音がして彩がでてきたのだった。
その手には、血のようなものがべったりとついていて、
男二人とフローレンスは絶叫して、
綾に疑いの目をむけたのだ……。

しかし、彩は、落ち着いて切り出した。

彩はフローレンス会長につめよって尋ねた。

「どうして私をかばう必要があるの」

「それは私がききたいことです、なぜですか?どうして血だらけなのですか?」

「なぜ、あなたが私に聞くの?」

「言葉の綾です、あなたは、私にそう言いました
巧みな言葉、つまりあなたは、私が嘘をついていない事をしっていたのではないですか?」

「…………!?」

彩は、自分のもってきたバッグから、長いロープをとりだした、それには、血のり、あらかじめ用意した血のりがついていた。
それをみたフローレンスは奇声をあげた。

「ごめんなさい、ごめんなさい、でもこんなことになるなんてああ!!!あああ!!!」

フローレンス会長は、すべてをかたりだした、それは彩の推測と寸分足りともかわりがなかった、
ただひとつかわっていたのは、フローレンス会長は、彩の兄、くるると付き合ってはいなかったことだった。

フローレンス会長は、3週間前、彩に心ひかれはじめていた
教師、サイトーの気を引くため、彩の兄へ急接近しはじめた。

「私が大事なら、もう二度と彩の事を私の前で口にしないでください」

これは食い違いをみせた、フローレンスの言葉は、彼の中で異変を起こすことはなかった
むしろフローレンスの勘違いがひどくなり、嫉妬が増幅していった。

「私のために、すべてをささげなさい」

三日前、フローレンスは教師サイトーにそういったのだった。

「フローレンスさん、朗報です」

彩はおもむろに、人形をバッグからとりだして、その首にロープをまきつけはじめた。

「これで、はい、皆さん、あのときの事をおもいだしてください、あの時先生は、立った姿勢でした、おかしなことにきがつきませんか?」

「おかしなこと?」

くるるは、あしもとをさぐる、すると、あっと声をあげた。

「先生がいない!!ぶら下がっていたはずの先生がいない!!

奥、つまりリュックから少し距離を置いた場所に、さきほど教師サイトーがぶら下がっていたヵ所がある、
彩の出現で度肝をぬかれた三人は、そのことにきがつかなかった。

「これは!!段差があるんじゃないか!?」

「そうです、雑草にかくれてわかりませんでしたが、ここには、段差があります、大きな石が固定してあるのです、
 いえ、というより、大きな岩をのみこんでこの木が成長したということでしょう、珍風景として、木がこういった異物を呑み込んで成長するのは、 まれに、ある光景です」

「ということは、サイトーはいまどこに……」

「フローレンスさん、私は、そこがききたかった、あなたは、これからどういう行動をするのか、
 それによって私たちが起こすべき行動も決まるとおもうのです」

結局、その後フローレンスは警察に通報、
事件は、新任教師の失踪という事でかたがついた、事件性はなく、ただの教師の悪ふざけと失踪ということになった。
あの後、フローレンスはサイトー教師とあっていない、ただ、たまに思い出し、そして、さびしそうにいうのだという。

「私の言葉があさはかだったわ」

と。

彩、教師の自殺

彩、教師の自殺

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-07-18

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