青春を駆ける。

無事大学に合格したまことは、かねてから興味を持っていた馬術部に入る。
そこで大淵先輩に出会う。

無事大学に合格したまことは馬術部に入る。
そこで大淵先輩と出会う。

松坂まこと 明るい
      純粋
      動物が好き

大淵雄介 堅い
     真面目
     優しい

大淵の友達 田中椋 同じ馬術部
          優しい

まことの友達 佐々木絵美 同じ馬術部
             可愛い

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仮入部期間。
まことはまっすぐ馬術部の活動場所に向かった。
そして入部が決まる。

大淵が一言。
「これから毎朝5時に馬小屋に来い。馬の世話をする」
なぜか圧倒されるまこと。
「ごめんねー、あいつ、コミュ障だからさ。あまり気にしないでね」
田中のフォロー。
「あ、はい…」
─要するに変わった人なんだな─

次の日の朝。
まことが小屋で馬に親しげに話しかけている大淵を見る。
「ん?あぁ、お前か。」
「大淵先輩は馬がお好きなんですか?」
「あぁ、好きだ。俺の一番の友達で理解者だと思っている」
「へー!そうなんですかー。私も馬、好きですよ」
「フン、見れば分かる」

あれ………………

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椋先輩はイケメンで優しいと評判があり、馬術部を覗きに来る女子大生が多かった。
『キャー!田中椋先輩こっち見たぁ!』
『もう、惚れちゃったよ!!』
『あーん、もっと教えてー!』
とかなんやら…

そして…

「馬に興味が無いなら来るな!!」

大淵先輩が一喝。

「もう、少しは我慢しろよな。せっかく馬術部に入ってくれそうだったのに」
「興味の対象はお前だろ。そんなやつらに入る資格は無い」

そうして、まことと同期で入部したのはたった3人。

そのうちの一人はまことの親友佐々木絵美だった。絵美はとても可愛いため、男性みんなの憧れであった。しかも勉強スポーツ共に優秀だった。

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馬術部恒例の歓迎会。
全部で9人。

「わたくし、松坂、このビールを一気飲みしまぁーっす!!」

その結果、畳に伸びることに。
「……ったく」
そう言って大淵先輩がまことをマンションまで送る。

玄関の前まで来たとき、まことが大淵先輩に抱き着いた。
「しぇーんーぱいっ!」
「お、おいっ!!は、離れろ!!」
酔っ払うと本音が出てしまうものである。
「しぇんぱいわー、絵美と、お似合いですよー?いや、ほんとに!…うふふ」
「な、何言ってるんだ!」
「しぇんぱいわー、頭良くて何でもできる絵美と、釣り合ってるからー」
「……バーカ。寝言もほどほどにしろ。早く寝ろよな。明日も5時だからな。馬は生き物だからごまかしはきかねーぞ、じゃあな」
大淵先輩はまことの頭をポンポン叩いて行ってしまった。

まことはいつのまにか大淵先輩のことが好きになってしまっていた。



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やっぱりモヤモヤする毎日が続くまこと。
しかも馬術があまり上達せず、大淵先輩に毎日のように怒鳴られる。

「あーぁ、ベンケーシー(馬の名前)、どうして私ってこんなにぐずなんだろ…」
楽しそうに、馬に乗りながら大淵先輩と並走しておしゃべりをしている絵美を見ながらため息をついた。
「そんなこと無いよ」
まことの後ろから声がかかった。
「うわっ!?もう…椋先輩!脅かさないで下さいよー」
まことは口を尖らせながら言った。
「ごめんごめん。まぁとにかく、松坂は一生懸命頑張ってるからさ、ぐずなんかじゃないよ。むしろ雄介は褒めてたぜ」
「えぇ!嘘だー!」
「ほんとだよ。『あんなに根性ある奴は初めてだ』って感心してたよ。」
「それって褒めてんのかなー」
「とりあえず、雄介はちゃんと松坂のこと見てるから心配しなくても大丈夫だよ」
「え?」
ハハハと笑って椋先輩は行ってしまった。
─どういう意味??─

「おい、もう休憩か?」
「え!?あ!いえ!これから!です」
思わず大淵先輩に敬礼してしまった。
はぁ、とため息をつく大淵先輩。
「ほら、乗れ」
ベンケーシーをグラウンドに連れ出して大淵先輩が言った。
「あ、はい!」
しかし、変に力が入ってしまい、足を滑らせてしまった。
ドシン
「イッター……」
「ったく、何やってんだよ」
大淵先輩がまことを抱き起こし、乗るのを手伝った。
「あの…」
何でこのタイミングで切り出したかは分からない。
「大淵先輩はカノジョ、いますか?」
ドシン
「イッター!!」
再びしりもちをついた。
「なんでそんなこと!……気を抜きすぎだ!あとは自分で乗れ!」
「えぇーーー!!?」
大淵先輩は動揺しながら言葉を吐き捨てた。
「カノジョはいない!!!以上だ!!!!」
それを見ていた椋先輩が笑いをこらえているように咳をした。
「椋!お前もだ!!練習しろ!!」
大淵先輩が一喝した。

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半年ほどが経った。
大会が近づいていた。
部員のほとんどは最後の調整に入っていたが、まことは今だ奮闘していた。
─どうしようどうしよう!このままじゃ部長の大淵先輩に恥かかせちゃう!それだけは避けたい!─
そうしてまことは人一倍練習していた。

大会当日。
まことは自分の出番が近づくに連れて落ち着かなくなっていった。
「ヤバいっ!!緊張する~~~!」
ドカッ
「いったぁい!」
まことは頭を抑えて後ろを振り返った。
怒ったような表情の大淵先輩がいた。
「お前がそんなに焦るほど何もやることはねーだろ。自分が今できることを精一杯やれ。わかったか!」
「…ハイ!!」

アナウンスでまことの名前が呼ばれた。


「心配するな、あれほど練習してたんだ。お前ならできる」
大淵先輩がまことに覆いかぶさるようにして小声で言った。
ポンポン
「ほら!行ってこい!!」
「はい!」

まことは無事競技を終えることが出来た。
大淵先輩と椋先輩、絵美は最後の優秀賞に選ばれていた。

「お疲れ様です!優秀賞、おめでとうございます!」
表彰式の後、まことが三人に言った。
「ありがとう、まこともお疲れ。よくやってたじゃん」
「ありがとう!やっぱり絵美はスゴイよね!」
まことが笑顔で言った。
「あー!そういえば、アソコにアレを置いて来ちゃった!!佐々木、ちょっとついてきてくれない?」
椋先輩が気を利かせてまことと大淵先輩の二人きりにした。

「なんだ、あいつ。アソコってどこだ??」
「…さぁ?」
首を傾げるまこと。
「……まぁ、今日は、アレだな。よく出来てたよ、お前らしく」
「ほんとですか!?凄く嬉しい…!」
「あぁ。あれだけ練習してたもんな。頑張ったよ、本当に。」

まことの目から涙がこぼれた。
「…!?お、おい泣くなよ!何で泣いてんだ??そんなに辛かったのか??お前はよく頑張ってたって!本当に!だから胸張れよ!」
オロオロしながら大淵先輩が言った。
「ちが、…くて。……先輩、私のこと、怒ってばっかりで…」
「それは、お前が頑張ってたから!コッチも本気になったんだよ。別に嫌いだからとか、そういうんじゃなくて…」
「見放されてたのかと思ってて……」
「………ずっと見てたよ!」
「でも、…」
「ちゃんと見てたよ、お前が本気になって練習してるところ。」
大淵先輩がまことを抱き寄せた。
「ちょっと見くびってたよ。こんなに根性があるやつだと思わなかった。でも、練習のしすぎも身体に良くないからな。気をつけろよ。ちょっと心配だったんだぞ!?あまりにも練習に打ち込んでたから!」
大淵先輩はまことを離した。
「ご、ごめんなさい…」
「まあ、結果オーライだ。

……あと、何か心配なこととか、あったら俺に相談しろ!
椋から聞いたぞ、悩んでたこと。…ごめんな、気がつかなくて」
「いえ、そんなこと…!先輩に関係ないですし…」
「俺の可愛い後輩だ!関係無いことあるか!」
「…はい」
「あとは、アレだ…………



お前、………………彼氏いるのか?」
「………え?」
まことは拍子抜けしてしまった。
「え、じゃない!!いるか、いないか聞いてるんだ!!」
「い、いませんけど…」
「……そうか」
そう言って大淵先輩は嬉しそうにまことの頭をポンポンした。
「今日の祝勝会は俺がおごってやる」


                 ─続く─

青春を駆ける。

青春ってこんな感じだろうな、と思うものを書いてみました。

青春を駆ける。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-07-13

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