宇宙飛行士のスタンドアップ



洗いたての月の上。
埃なくした地球の端。
先に洗ったお皿持ち。
降りた兎は後ろ向き。






クレーターは自影に気遣う。
深夜に影は似合わない。
右と左も忘れたがって
宇宙の中の 300と60,






落とせない瞼
は時報の代わり。
もしもし
は聞けない模様。
ばいばい
に会えない模様。
それでもお切りになりますか。
いつまで でも待てますか。





月を黄色と決めて僕,
ベーコンエッグは美味しくて。
甘め多め
弱い無重力。
作り方も浮いちゃった。






ゆで卵は思い出さない。
2つ以上は食べきれない。
剥けた殻も寂しげで
剥けたて卵も例外なく,
片寄る黄色
ゆで卵。
塩加減
のゆで卵。
ハイと渡され
ゆで卵。
ためらいがち
のゆで卵。
最後はいつか
もしかしたら,
宇宙の何処かの,
割れたあなたの
ゆで卵。






横を犠牲に見た前は
迷った挙句に上を向く。
ルアーはスペースに漂うよう。
家具も置けなく 彷徨うよう。






誰が決めたの
星座の見取り図。
ジグソーパズル
は飽きてしまう。
嵌め込む以外の遊び方。
開発したがるお手てと遊んで






土から土へと渡るのは
靴下履いた安心感。
裏が汚れた足のまま
ホームへ帰還の決意のスキップ。






湖面の下で意識する
のは明るい月の,
魚眼の痛さ。
チクチクしない,
淡い鈍さ。
狼男になってもさ。
それから魚に戻っても さ。
優雅に泳げるエラ呼吸。
羨む僕は泳ぎが苦手。






浮き輪の月は週に一度。
迎えは多分に遅いだろう。
かぐや姫が日焼けする前,
バタつかせる足は僕を進め,






兎にあった久し振り,
チョッキを素敵に仕立ててた。
時計要らずの時間なら
宇宙の中で流れてる。
だから,
何時って
聞くのやめた。






洗いたてのシャツだって
アストロノートの夢を着る。
埃をはらったキミノマエ,
お皿は見事に洗っておいた。






宇宙じゃ息は出来ないのに,
息継ぎの練習は要らないらしい。
だったら息する それ以外を
出来る自分になっておこう。






思い出になるブランコは良いかもしれない。
月の一つも蹴ってみよう。

宇宙飛行士のスタンドアップ

宇宙飛行士のスタンドアップ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-09-22

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