おとぎの国の食虫植物

昔々、おとぎの国という、人間の住む世界とは別に、人間の世界のかたすみに、たとえば、木のウロや、訳もなく開いた家具の穴などに、
とても小さく、変わった世界、おとぎ話の住人達のための居場所がありました。
そこでは、皆さんよくご存じの、昔話、おとぎ話の人々がくらしていました。
そこには、ものをつくるの神様が一人いました。
やさしい神様ではありましたが、その神様はいつも退屈をしておりました。

「ああ、美しいものがみたい、例の物語のバラは最近枯れてしまった、また人間界からもってこなくてはならない
 だれか、新しいおとぎ話をつくってはくれないかなあ」

しかし、それから幾日、幾年たとうとも、バラに関するおとぎ話はうまれません。
おとぎ話とは、かなしい、かわいそうな結末をたどるものも多く、まえのおとぎ話のバラは、最後には枯れてしまう運命でした。
神様は、人間の美しさなどや、人間のつくったものではない、自然のつくりだす美しいものを欲しがっています。
飽きっぽい神様ですが、それでもその時、いっときのものではなく、永遠の美しさがほしいとおもったのです。

一方で、郊外に少し厄介な花が一輪だけ、ちょうどさびしくさいていました。
醜い見た目で、それでいていつも神様におねだりばかりします。
そんなことばかりしていたので、
皆からも、醜い花、とよばれています。
神様はいつもふらふらと、大自然をあるいてまわっていましたので、今日も神様の前にあゆみより、
お願いをしました。

「神様、美しい顔がほしい」

神様は思いました。
それはちょうどいい、私は美しいバラがみたい。しかし、神様はただではあげられないと迷いました。
その植物は、おとぎ話の中のものなので、一人でにあるいてしまいます、なので、いいました。

「100日の間、地面から足をだすんじゃない」

100日こらえた醜い花。
しかし、しばらくの間、神様は現れませんでした。
幾年かたったころ、神様は再び散歩をしていました。
その腕の中には、美しいバラ、どうやら美しいバラが手に入ったようです。
しかし、醜い花は、神様の約束を信じて待ち続け、決して自分から約束の事をくちにしませんでした。
そんな願いがみのってか、
ある日かみさまがいいました、
おまえに美しい顔をやろう。

その三日後、たしかにきれいな緑の顔をてにいれました、花の顔といえば、花びらです。綺麗な花がさきました。
しかしその体にはいばらがのこりました。
醜い花は、自分の体のいばらにはきづきませんでした。
ほかの植物や、おとぎ話の主人公たちにもてはやされることはあっても、
トゲトゲとして、バラよりも数段もするどいいばらに、だれも近寄ろうとしないのです。

いつしか、醜かった花は、バラモドキと自分で自分を名付けていました。

(このトゲさえなければ……幸せになれる)

バラモドキは、何度も何度も神様にお願いしましたが、神様は断り続けました。
そして最後に言い放ったのです。

(少しは自分で人の役に立とうと思うことだ)

しかたなく畑によってくる害虫をたべることにしました。
それから、何百年とときがたち、
いまでは、重宝されることもあり、屋内や、リビングなどにおかれることもある食虫植物ですが、
しかし、おとぎの世界でのナゴリもあってか、今になっても。
人間たちに心無い言葉を浴びせられることもあるのです。

「おお」
「虫がとけてるぜ」
「本当だ、かわいそう!!ぐろ、ばっちい」

おとぎの国の食虫植物

おとぎの国の食虫植物

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-07-13

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted