*星空文庫

Go on

一色亜月 作

スマホの画面にコップの水滴がこぼれて魚眼レンズみたいにひろがるから文字を打つ邪魔をする。いそがないけれど、うたなければならないメールを後回しにできる理由になった。


メッセージ、LINE、メール、その他連絡ツールのアプリがごちゃごちゃあるのも人によって仕分けているのではなく人に言われるまま入れているだけだ。本当はできるだけシンプルな方がいいのだけれど、人はそれぞれ違うから合わせるのも悪くない。容量もたいして変わらないし太っている痩せている大きい小さい短い長いなんていう特徴が人にあるのと同じようなものだと思っている。


かくいうわたしは電話が苦手なので合わせているだけではない。話した方が早いこともあるのに何かあれば文書で伝えてもらえるのはありがたい。けれど、文字は歯がゆいところがあってつまるところ誤解をされることもある。


何気ない一言が妙に腹に落ちて意外な一面という思ってもない産物があるかと思えば返事に困る文面に言葉足らずな単語だけではじれったくままならないことがある。けれど、気分が悪くなるような言葉を特定の相手に好きで吐く人はいないと思う。惰性や経年で言葉が粗くなることはあっても他意はなく、次に出てくるごめんねをどう受けたかは勝手だ。誰も誰かに踏み込める隙はない。知らない作家の文章に勝手に温度感じて心動かされては勝手知ったる相手と言葉の行き違いがあるなんてちゃんちゃらおかしいと思う。


イメージ。


イメージは、人を縛ってしまう。イメージした方もされた方も。出た言葉はそこから手繰って変化する。うまく魔法がかかればいいのだけれど見習いの魔力では拙い。イメージの結界が手強いのは縛った強さなのだろう。けれど、それを我慢と履き違えたときに心が荒ぶって泣いたり怒ったり叫んだりしない人はいないから誰かの地雷は誰かの不発弾だと思う。我慢と許容は違う。どちらに受け止めたかで爆発しないで花が咲く。


定期でとるバックアップではついでに整理をするのだけど、だいたいニコニコしている自分がいる。わりといい思い出が多いのかもしれない。聖母のように許すイメージがあるなら縛られたことを悲観することはない。言葉の力で誰かを救うから書くことを人はやめない。足元だけを見て抗わずあっという間だったねと思う未来がいい。

『Go on』

『Go on』 一色亜月 作

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2018-06-28
Copyrighted

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