指先

ぼくが今まで大事に培ってきたものが

全てここでぶち壊されたとしても

あなただけがいれば

特に困ることはなにもないと思うのです

大丈夫だって

そんな無責任な六文字では片付けられないのだけれど

大好きだとか愛してるだとか

そんなストレートに伝えられるものでもなくて

とにかく

大げさに言えば

あなたがいればなにもいらない

そういうことだと思うのです

ああ きっと今までの恋愛の先駆者達も

同じことを思ったのだろうなと

本当に心の底から

なんの混じり気のない純粋な心でそう思えるわけがないのだから

それは人間の本能というもので

相手への愛の大きさとか形とか

そんなものは全く関係がなくって

愛って難しいなあ

常にそう感じてしまうぼくは根っからの阿呆でしょうか

きみのせいでぼくの目はパンパン

そうして重力に負けて彼らは

ぼくの目を飛び出して

ぼくのお世辞でも綺麗とは言えない頰を伝って

顎の先で溜まって

また重力に負けながらぼくの部屋へと落ちていくのです

彼らは時に暖かく

冷たいものであり

ぼくの大好きなものでもあります

大変厚かましい

そういうことだって

狂おしい愛なんてやっぱりどこにもありませんでした

単純に純粋に性欲を詩的にしてみました

そしてたくさんの嬉しいとか悲しいとか苦さを加えたら

愛と言う名の恋愛とかいうものができてしまった

ただそれだけのこと

結局はみんな人間なんだな

ぼくもきみも

指先

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  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-06-27

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