*星空文庫

30秒ふぁっきんぐ

一色亜月 作

今日も脳内にあるものでお料理していきたいと思います。


なにはなくとも浮かんだもので適当に言葉を用意します。内臓空っぽになるくらい凹んでヘラヘラ笑って空元気ふるまってまわりを欺いてるつもりの料理といえば、そうカレーです。みんな大好きカレー味。何を入れてもカレー味。顔色だってカレーにまみれてほらもうなんにもわかんない。


野菜なんかは肉や魚と違って繊維に沿ってキレイに切るより乱切りの方が味が染みやすくおいしくなるといいますが、アレって切れば切るほど野菜がストレス感じちゃって負けるもんかて自分をまもる旨みを出すからなんですって。


ドMですね。


言葉は、シバいてシバいてシバきまくってこそ美醜が増すのです。字ズラの虚構でなんにでもなれるのだから。


さあ、乱切りにした気持ちを飴色になるまで炒めてください。そしてもう決して焦がさないように。炒めたら溢れた想いを何カップとかややこしいこと言いません。あるだけぶち込んでください。ちなみにわたしはEカップです。スープが冷める距離ではなんの役にもたちませんが。火は強めでグラグラさせましょう。昇華しなかったのだから火ぐらい好きにさせてくれ。いい感じにアクが出てきました。こいつをどんだけキレイにとりのぞくかで雑味のないスープになるのだけれど、煮えたぎるとすぐにアクがスープに飲み込まれてしまうから恋は盲目、痘痕も靨。ゆっくりと育てたつもりはただ待てなかったというだけのこと。そのえぐ味を忘れないで笑え。ほら30秒しかないんだからさっさとルー入れなさいよ。だって雑味があるくらいがホントは人生ちょうどいいんだから。


あとは果報は寝て待てです。食うのは明日くらいでいんじゃないかな。これくらい待てなくて極上のとろみにはありつけないわ。え?肉?次こそてめえの血肉削いでハートつかんでみやがれ。


そしてあなたは100年幸せでありますように。

『30秒ふぁっきんぐ』

『30秒ふぁっきんぐ』 一色亜月 作

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2018-06-24
Copyrighted

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。