*星空文庫

亡郷

紺 作

蒼く汚れた顔
似合わないと言われながらも
苔むしたように
陰険なぬめりで息づく


血の針が耳の孔から器官に注入されて
涙腺から蛆虫が湧いた
私はゆっくり
人の味がしなくなる


先細りする
故郷の真夜中は
張り詰めた蛾の死骸を
食べてると誰も言わない


乳房を手で覆い
おなごの格好をする
鋼のような髪をいじらしく
露の床におろす


さむいのは我慢しなさい
いつもそれだけを
言葉にする母


さむいのは気のせい
あそこに
記憶を失くした私がいる

『亡郷』

『亡郷』 紺 作

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2018-06-20
Copyrighted

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