かぜのなかぜ

大切に育ててしまう なにもかもいつかはしんでしまうみたいに

あしもとでふるえていてもだきあげるわけにはいかない曜日にあたる

ひきとりてのない地球儀とよびかわす名前のように切ってください

なぜひとになれないままでひととして生きていかねばならないのだろう

この熱はなんなのだろう 弟は風の名風もわからないまま

うんめいにひれふしてゆく感情をひとつとばして冬の雷鳴

こうふくが一倍速ではじまってわたしは心をうばわれていく

歴史上最善良の狩人が落としていった長い命題

あの雲はわるい冗談なのでしょう 光の街のけもののにおい

できることをしただけでしたただただただまだうらぎりかたをしらず

うまれつき寿命が長いものとしてあなたのしらない星にも祈る

空耳が聴こえてしまう この道もきっとわたしにつうじてしまう

海からもまみずのようなひとからもほんとうのことは聞いていません

風向きが変わる いのちはふりかかりわたしもいつか子をもつだろう

もしかしたらあなたはそこにいたのかもしれない 窓をはんぶんあけて

かぜのなかぜ

かぜのなかぜ

短歌連作15首

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-06-13

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