日本の智考進、世界を救う!

智考進は、数学が得意ですきだ。大学時代に米国留学で、米国人のエネルギーの必要以上の豊かな生活や大量消費を見て、何て奴等だと幻滅した。日本に帰ってきて、水の電気分解による水素合成を研究し、その後、大手石油企業に就職した。その後、水素関連の専門家としてNEDOメンバーに選ばれ、来たるべき、水素社会をリードする、日本の研究をサポートしていった。そうすることによって、未来の地球が持続可能な世界になるために貢献していった。その行動を描いてみた。

1話:米国留学で知った現実1

 東京のマンションで、今朝、6時半、智考家(ともたかけ)の朝は早い。もう朝食(トースト、クロワッサンとサラダ、珈琲か紅茶)を終えた。お父さんの智考卓(ともたかすぐる)は、昨年、ロンドンから日本に戻ってきた。
 長男の智考進(ともたかすすむ)は1997年6月3日生まれ、2009年、ロンドンから日本の上智大学付属中学に通っている。ただ、智考卓は、特に宗教に興味はなく、中学での賛美歌は、好きではなかった。 
むしろ、現在、数学の定理の証明、図形、方程式などに夢中だ。将来は、理工系で定理の証明とか実学としては建築の図形などの関連する仕事につきたいと思っていた。

 妹の智考広美(ともたかひろみ)は、数学は苦手、音楽大好きで絶対音感の持ち主。将来は、感覚を利用した仕事に就きたいと思っていた。 彼女も、音楽(作曲)絵、工作を始めたら、止まらない、兄譲りの没頭タイプであるが、忘れ物の名手でもある。

 お母さんの智考庵は、由緒あるソニー井深家の出身で、思慮深く、良妻賢母のやさしいお母さん家族の面倒をみて忘れ物のチェックや身の回りの世話をやいてくれる、最高のお母さんだ。その日の晩、お父さんが、息子の智考進に2013年大学受験だけれど、どこに入りたいのかと聞いた。

 それに対し英国生活は、飽きたから日本の自由な校風の理工系の大学へ行きたいといった。具体的にはと問われて東京理科大に行きたいと言った。合格の可能性はというと大丈夫みたいと、素っ気ない反応。東大とか東工大、早稲田理工学部はと父が聞いたが、理科大の文化祭に行った時の印象で、飾り気がなく気負ったところがなく自然体で、そういう所が気に入ったと答えた。他は、気位ばかり高く、ちょっと鼻持ちならなく、好きではないと話し。
 その点で理科大は、無理しなくては入れるのも良いと笑った。父が大丈夫と考えて良いんだなと確認すると大丈夫と答えた。その後、4月の入学試験で智考卓は無事、東京理科大学・工学部・工業化学科に合格した。

 特に、水の電気分解で水素を取り出す時の触媒の研究に的を絞って研究したいと考えていた。  
 その翌年(2年生の時)の2016年9月のカリフォルニア大学の留学プログラムに参加した。
 カリフォルニア・サクラメント・郊外のホストファミリーの家に1年間、お世話になった。
 米国にいる間、勉強の方はもちろんアメリカの素顔を見るべく、時間があれば旅行した。最初にラスベガスの安宿に泊まり、ドラッグ中毒やハイウェイの下に住むホームレスを観察した。

 英語は、既に日常会話は不自由なくこなせ全く問題なかった。そんなある日、友人のバースデーパーティーに呼ばれた。まず、彼の家の大きさに驚いた。6LDKたが、1部屋の大きさが巨大。リビングが30畳、ダイニングも20畳、彼の部屋が15畳、他も15畳、そして、セントラルヒーティングで、全館冷暖房である。電気代と言ったら日本のマンションの10倍。

 家族4人で車は、RV、スポーツカー、日本のスバル、BMW、ベンツ5台所有。電気代もガソリン代も日本に比べて格安ではあるが、月に数十万円。彼の父は、カリフォルニアの大きな農家に投資して、共同経営者になっており、毎年数億円の収入。特に企業にも属していなくて、投資で生活して十分暮らしていける。配当金と株式売買益で数百万ドル/年、フロリダ、オーランド、ニューヨーク、ロサンゼルス、シアトル、ラスベガス(賃貸住宅兼、別荘)典型的な、売国人富裕層。プライベートジェットも所有している。(賃貸もしている。)

2話:米国留学で知った現実2(201701-2001801)

 このエネルギーを湯水の様に使う生活を見て、本当に米国人は頭が悪いと嫌悪感を持った。その米国企業のグーグル、アップル、マイクロソフト、フェイスブック、ツイッター、アマゾンに洗脳され利用されている日本、中国、欧州など、多くの現代人の馬鹿さ加減にあきれた。病気にかかっても高額医療費を払えず死んでいく中流のむなしさの気持ちが良くわかるような気がした。米国の一流大学出て、ウオール街で働き、投資ゲームをマスタ-していき、成り上がっていく若者、高額報酬を手に入れ資産が100万ドル越えた段階で早期退職で悠々自適な生活するのが優秀な若者の夢だと言われている。アメリカンドリームの姿を見てつくづくそのアホさ加減を思い知らされた。

 それでアメリカンファーストふざけんじゃない!馬鹿やろうと叫んだ。こんな米国人達が世界牛耳っていたら世界の滅亡も近いと真剣に考える様になってしまった。マイアミ、ラスベガス、オーランドで見た、貧困層の人達のうつろな眼を見ると、今の米国病の根の深さを感じた。これでは、銃乱射したり、暴動が起きたるするのも、うなずけるくらいに、やんだ米国社会をまざまざと見て回った。アラスカ、デンバー、セドナ、サンタフェ、サンタバーバラ、サンアントニオ、サンディエゴ、シアトル、ポートランド、アルパカーキーなど素晴らしい街も多い。

 最後に、もし、アメリカ人がもう少しまともになれば、世界ももっと住みやすい惑星になるんだけれど、何だか訳のわからない妄想にとりつかれた。アメリカの馬鹿でかい車やピックアップトラック、トレーラー、トラックを見ていると、地球上の資源を無駄に使っているのには、耐えられない嫌悪感をいだいた。彼らが、もう少し資源の無駄遣いを控えれば、地球環境を悪くならずに済むと考えるようになった。留学先での勉強の内容は特に目を見張るものはなく学生も実験も雑だし、第一手先の不器用さには閉口した。頭の良い奴は、留学生ばかりで、米国人エリートは少数であり、態度だけでかく、議論好きなだけでヒラメキというものがない。

 そうこうしているうちに、あっという間の1年間が過ぎてしまった。アメリカの病んでる姿が非常に参考になる留学だった。つまり反面教師という意味では有意義な1年間の留学だった。智考進(ともたかすすむ)は、日本に戻り、東京理科大での卒論を準備する時期、2017年に大学4年を迎えた。入学当初から考えていたテーマ、水の電気分解を卒論したいと思った。水の電気分解とは、純水中はイオン濃度が低いので、高い電圧をかけないと、電流が流れません。そのため、水H2Oの電気分解には、薄い水酸化ナトリウムNaOH水溶液を用います。例えば、水酸化ナトリウムNaOH水溶液を電気分解すると、ナトリウムイオンNa+ は還元されにくいため、陰極では、代わりに水H2Oが還元されます。また、陽極では、水酸化物イオンOH- が酸化されて、酸素O2が発生する反応が起こります。このとき、陰極付近の溶液では、水酸化物イオンOH- が生じるために、pHが大きくなります。一方で、陽極付近の溶液では、水酸化物イオンOH- の濃度が減少するために、pHが小さくなります。また、陰極で受け取る電子e- と陽極で放出される電子e- の量は同じなので、水H2Oの電気分解が起こったことが分かります。卒論は、水の電気分解が加える電気量によって発生する水素と酸素の量が比例する。また陰極に発生する水素2に対して、陽極に発生する酸素が1の比率で発生することがわかった。現在、日本においては水素社会をめざす研究が盛んであり、その実験にも参加したいと思っていた。

3話:水素関連の大手石油会社に入社(201204-10)

 智考進(ともたかすすむ)は、2012年3月に理科大を卒業したが水の電気分解による工業化学の水素合成研究室籍を置き研究を続けていた。最初に水から水素を効率的に合成するための触媒(化学反応を促進させる物質)をいろいろ変えてみたり、反応温度、気圧、水のPHを複合的に変える実験を何回も繰り返した。1年が経ち、PHはアルカリ性の方が良いことを突き止めてた。
その後、研究室の教授の紹介でJXHDの水素研究の第一人者である山田研究部長を紹介され、入社の誘いを受け、入社することにした。入社後は、山田部長と共にNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のメンバーになり、活動することとなった。

 2016年に旭化成が水電気分解の研究をしており共同研究を開始した。両者は、アルカリ水が電気分解に適してることを突き止め、国からの補助金を受けて研究を進めた。2016年4月に旭化成に就職して、研究を継続して行った。旭化成は、大型電極を用いたアルカリ水電解設備を使い、IHIと共同で再生可能エネルギーによる「グリーン水素」製造の試験運転を開始したと2018年5月22日に発表した。

 この年、福島県相馬市のスマートコミュニティー事業の実証施設「そうまIHIグリーンエネルギーセンター」内に設置した。そこでは、世界最大の10MW級の大型アルカリ水電解システムと最大水電解電力は120kW、水素製造能力は25ノルマル立方メートル/時と、その他に水素製造能力30ノルマル立方メートル/時の固体高分子(PEM)型も備える。これまでの試験研究では90%超のエネルギー効率と優れた変動出力応答性を確認済みで、試験運転では同設備を実際に太陽光発電設備と連携運転させて実用性を検証する。期間は20年3月までの予定。

 同設備で得られた知見をもとに、セルスタック数を拡張した1ユニット そうまIHIグリーンエネルギーセンターは、太陽光発電電力の地産地消と地域振興・発展への寄与を目的とした施設で、相馬市とIHIが4月に開所した。出力1.6MWの太陽光発電設備、容量2500kWhのリチウムイオン蓄電池、エネルギーマネジメントシステムなどを設置した。

 これによって、今までの、水素合成に加えて、アンモニア改変、水の電気分解法と、いくつもの方法で水素製造が世界的にも、飛躍的に増える事は間違いなくなった。智考進は、これらの工場を京浜工業地帯、中京工業地帯、阪神工業地帯、北九州工業地帯に作り、24時間体勢で、水素を合成していけば、日本の需要を満たすだけでなく、世界のエネルギー発信基地になり得ると、夢を膨らませていった。この年、NEDOの水素合成の責任者として、26歳の若さで就任した。彼は、英語が堪能なので、米国、ドイツと飛び回ることとなっていく。

4話:ZEH,、ZEB対策が活発化と新製品発売(201504-12)

 大和ハウスのロイヤルホームセンター(大阪市)「ロイヤルホームセンター津島店」太陽光発電の設置や、自然光や通風の活用で空調を抑制し、大型店舗では初めてZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)を実現した。ローソンやイオンでも自然エネの利用や高断熱化、高効率化によりZEBを目指す店舗が増えている。資源エネルギー庁は、ZEBを「高断熱化・日射遮へいなど建築計画的な手法を最大限に活用してエネルギー消費量を半分以上減らし、その上で太陽光発電などによりエネルギーを創ることで年間での一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロ又はおおむねゼロとなる建築物」と定義している。同ホームセンター全店舗で2005年度比CO2排出量を44.1%削減した。

 「ローソン小平天神町二丁目店」は、自然循環換気や地中熱利用、換気トップライトなどの建築計画的な省エネ手法を取り入れた。またIoT化により遠隔制御が可能な蓄電池やLED照明を導入することで、標準的な店舗と比べて電力量を約6割削減する見込みだ。これらの取り組みにより、同店舗はZEB認証を取得している。

 ローソンも1998年から、店舗に太陽光発電を設置した店舗は2000店を超え、LED照明は既存店全店に導入した。加えて、フロンを使わず大幅な省エネ効果のあるCO2冷媒冷凍冷蔵機は約1900店舗に導入している。「ローソン夢前スマートインター前店」(兵庫県姫路市)は、コンビニで初めてバイオマス発電を導入し注目されている。店舗から排出された使用済み食用油の一部をバイオディーゼル燃料(BDF)にリサイクルして、発電した電気を店舗で利用している。これに加え、店舗の断熱性能の向上や太陽光発電の設置や空調の工夫などを組み合わせ、従来の店舗に比べて約7割の電力消費を削減している。

 2015年に開店した「イオンモール四条畷」(大阪府)はZEB実証事業として採択された。同モールは高断熱や壁面緑化などにより断熱化をはかり、施設内のエネルギー使用状況を可視化し、使用する機器の制御を行う「BEMS」(Building Energy Management System)を採用。約750kWの太陽光発電装置やLED照明なども導入し高いエネルギー性能を備えた。。今後、流通業界ではZEBを目指す店舗が拡大しそうだ。その他、東芝、パナソニック、三菱電機、旭硝子、鹿島建設、竹中工務店、三建設備工業などで、ZEBの新たな試みが、多くの大型ビルで、積極的に実施されて、多大な効果を上げだしている。

5話:家庭用太陽光発電装置の設置(201510-201512)

 2012年に買い取り価格1kwあたり42円という太陽光発電の買い取り制度が始まった。当時の太陽熱温水器と太陽光発電装置が一緒になったシステムの設置費用が260万円であり、神奈川県と横浜市の補助金(太陽光+太陽熱)19万2千円が出た。太陽光発電の買い取り条件は6kW(買い取り期間20年、2032年まで)月に150KW平均で¥6300の買い取り価格となる。年間、約¥76000、20年で151万円程度。太陽発電装置を設置してから、月平均600kwhを発電して、月の使用量が440Kwhであり、年間8万円売電できた。その経験で、家の車のガレージの屋根に4Kwhの太陽光発電装置を220万円で追加した。これによって、売電金額が増えて、太陽光発電装置の減価償却が、非常に早まった。

 智考卓(ともたかすぐる)は、家庭用太陽光発電装置の設置については大賛成であり、自分の使う電力やエネルギーをを自然エネルギーで作る事を誇りに思った。もし、日本人がもっと、自然エネルギーで生活する様になれば、良いし、それが世界に広まれば、CO2ガス、地球の環境問題も改善するはずだと確信していた。そんな時に、横浜みなとみらいのパシフィコ横浜で新エネルギーの学会が開かれて、智考卓(ともたかすぐる)も興味があるので参加した。研究会では横浜での新エネルギー・プロジェクトには、多く発表された。

 例えば、2016年3月21日、横浜で水素社会の幕開けの演題が発表された。TY自動車が「作って、運んで、使う」実証実験を開始。また、旭硝子から、2016年4月に、ガラス一体型・太陽電池モジュール「サンジュール」すだれの様な模様が、発売された。2016年にキリン横浜ビアビレッジは工場稼働90周年の節目にエネルギーにやさしい工場を目指して改修。その一環として、大開口部かつ南西向きで、熱の出入りの問題を抱えていた試飲室に「アトッチ(太陽光発電仕様)」の導入を決めた。試飲室は2段形式の大窓が設置されているが、下段部分の75m2に導入。導入による発電能力は、年間で1400kWhを予定しているという。

 この年は、新エネルギーだけでなく、オフィスや自宅の省エネルギーを減らす、目標と、その達成年度について、積極的に議論された。そして、2015年からZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とかZEHとは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」と言う言葉が使われるようになった。日本の政府でも、2020年までに新築公共建築物等で、2030年までに新築建築物の平均でZEB、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル、ハウス)を目指すというロードマップが決められた。

6話:2016年以降、開始されるバイオマス発電(201601-12)

 北海道・別海バイオガス発電株式会社 (別海町・農協・三井造船で運営) 1,800kW、年間約1000万キロ・ワット時(一般家庭約2800世帯分)を発電する計画だ。生乳生産量日本一を誇る別海町では人口の約7倍の11万頭近い牛が飼育され、排出されるふん尿は年間約200万トンに上る。発電所では、1日に牛4500頭分にあたるふん尿280トン、食品残渣ざんさなど5トンを発酵処理。その過程で発生するメタンガスで、年間約1000万kKw時(一般家庭約2800世帯分)を発電する計画だ。発電機は最大出力600Kwの3基。家畜ふん尿を処理するプラントとしては日本一だ。原料は当初、スラリー6割、固形ふん尿4割を想定していたが、酪農家の要望で固形ふん尿の受け入れが増え、固形ふん尿が8割を占める。

 住友林業が住友共同電力株式会社と合弁で設立した紋別バイオマス発電株式会社(北海道紋別市)が運営する紋別バイオマス発電所は、2016年12月1日に営業運転を開始しました。紋別バイオマス発電所は発電規模50MWで年間の総発電量は一般家庭約6万5千世帯分の電力を発電して北海道電力紋別変電所に送電している、オホーツク地域の未利用木材を主燃料とした日本最北端の大型バイオマス発電施設です。燃料として利用する木質チップは隣接するオホーツクバイオエナジー株式会社(本社:北海道紋別市、社長:山東 正典)が自社生産するほか、協力工場から集荷した木質チップや輸入PKS※2、補助燃料の石炭など多様な燃料を利用します。住友林業では再生可能エネルギーによる発電事業を2019年3月までに200MW規模で年間の総発電量は一般家庭約27万世帯分の電力をまで拡大する予定。

 石狩 江別市 王子グリーンエナジー江別 (王子グリーンリソース株式会社) 25,400kW 2016年1月開始。発電量は年間の総発電量は一般家庭約3万5千世帯分の電力を発電してていく予定。石狩市 新エネルギー開発株式会社 50,000kW 2019年9月予定 年間の総発電量は一般家庭約6万5千世帯分の電力を発電を予定している。胆振 室蘭市 室蘭バイオマス発電合同会社 (JXTGエネルギー、日揮) 室蘭バイオマス発電所 74,900kW 2020年5月予定で総発電量は一般家庭約5万2千世帯分の電力を発電してていく予定。白糠町 神戸物産株式会社 白糠バイオマス発電所 6,250kW 一般家庭約7千世帯分2018年6月予定。苫小牧市 苫小牧バイオマス発電株式会社 (三井物産、イワクラ、住友林業、北ガス) 2017年5月 稼働開始した苫小牧バイオマス発電所1号機 5,900kW(8千世帯分の電力)同規模の2号機も2019年開始予定(8千世帯分の電力)、合計(1万6千世帯分の電力)を供給する予定。発電所は蘭東下水処理場(室蘭市寿町)内に開設した。月島機械が汚泥から取り出した消化ガスを燃料として消化ガス発電設備で発電する。今回導入した同発電設備の容量は103kW(ガスエンジン103kW×1台)。年間発電量は約420000kWh(一般家庭 約120世帯相当)を見込む。発電事業期間は2016年5月~2036年3月(20年間)を予定する。

 埼玉県で大手総合リースの東京センチュリーは2018年5月、月島機械と共同で、埼玉県下水道局と「中川水循環センター消化ガス発電事業」下水処理場で発生する消化ガス(バイオガス)を埼玉県から購入して、20年間の発電事業を行うもの。自らの資金とノウハウを活用して発電設備「中川水循環センター消化ガス発電所」(埼玉県三郷市)を建設する発電施設には消化ガス発電設備1式を設置。設備容量は合計1996kW(キロワット、ガスエンジン4台)。年間発電量は一般家庭約2200世帯分の使用電力量に相当する約1120万kWh(キロワット時)見込んでいる。事業期間は2021年3月~2041年2月(20年間)の予定で、発電した電気は、「再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)」を利用して売電を行う。

7話;横浜での風力発電で水素製造(201707-12)

 2017年7月13日具体的には、風力発電所は、高層ビルや観覧車、赤レンガ倉庫が並ぶ横浜市の「みなとみらい地区」の対岸にあり、水を電気分解して水素を製造する装置を設置し、更に、水素貯蔵タンクを風力発電の近くに設置する。風が吹かない時は蓄電池から電力を供給して水分解装置を動かす。蓄電池にも風力発電の電力を充電しておく。TY自動車の専務役員はタンクは2日分の水素を貯蔵できる容量に設計した。

 実証ではあるが、実用化を見すえ「水素供給ができなくて燃料電池フォークリフト利用者に迷惑をかけない様にする」水素は圧縮して小型な4トントラックに充填して運ぶ。TYTの専務役員は、配送先は4カ所、合計12台の燃料電池フォークリフトに供給する。横浜市中央卸売市場は短い距離の移動が多く、キリンビールは重量物の搬送、ニチレイは低温環境とフォークリフトの使用形態が違う工場や倉庫を選んだ。実用化に向けて注目されるのがコストだ。「量産効果、規制緩和で水素価格をどこまで下げられるか検証したい」という。

 水素ステーションではハイブリッド車の燃料と同等以下の価格で水素が販売されている。東芝の次世代エネルギー事業開発プロジェクトチームの統括部長は「電動フォークリフトよりも安くしないと世の中に受け入れられない」と目安を示した。TYTの専務役員が「全国各地のモデルケースになるようにしたい」といい、すでに北海道の大規模風力発電所から電力を首都圏に送って水素を製造するような事業も検討している。東芝の統括部長も「再生エネ由来の水素を地産地消するための重要なパイロット事業であり、未来社会を先取りしている」と語る。

 開港によって日本の近代化が始まった横浜から、水素社会の幕も上がりそうだ。水素の貯蔵は充電と比べどれだけ効率的か 水素を運ぶトラックは、水素を一度に270ノルマル立法メートル運べるそうです。燃料電池フォークリフトは1回で13・4ノルマル立法メートルの水素を充填します(3分で充填、8時間稼働)。なのでトラックにはフォークリフト20台の水素を運べる計算になります。 実証で使う12台分のフォークリフトは余裕で賄えます。仮に風力が発電した電力を水素にせず、蓄電池にして運ぶ場合を考えてみました。まず、電動フォークリフトの充電量がわからないのでHPを検索してみると18kwhという数値がありました(メーカー代理店HPには18kwとあるが、おそらく18kwhのこと。日産リーフが24kwhなので18kwhなのかな)。<18kwh×20台=360kwh> これはリーフの蓄電池15台分。家庭用蓄電池(12kwh)だと30台分。12kwhの蓄電池1台の重さを200kgとすると、30台分だと6000kg。つまり6トン。トヨタなどの実証では4トン車でフォークリフト20台分の水素を運びます。水素はエネルギーを少ない体積につめこめることがわかります。また実証で使う既設の風力発電設備は年220万kwh発電するそうです。

 単純に計算する(220万÷18kwh)と12万2222kwh。発電した電力をそのまま電動フォークに使うと年12万2222回の充電ができる。ただし、発電した時と充電したい時がいつも一致しないので実際には風力発電から蓄電池に一度、充電してから電動フォークに給電しないといけません。蓄電池は大きなものになるでしょう。その点、水素は蓄電池よりも少ない体積に多くのエネルギーを貯蔵できます。場所もとらず、運びやすい。また燃料電池は発電効率が良いので、ロスも少ないです。風力が発電した電力1kwhで、どれだけの水素が製造できるのか(H/kwh)がわからないで中途半端ですが「貯めたり・運んだり」するのは蓄電池よりも効率が良いはずです。と言う事で、できた水素は、地産地消で消費した後で、輸送した方が良いことが証明され、燃料電池フォークリフトや大型液体水素トレーラーを使う方法も効率的なのだ。

8話:太陽光発電が電力の安定供給に深刻な影(201804-10)

 太陽光発電の黒光りするパネルが、電力の安定供給に深刻な影を落とす。太陽光バブルが起きた九州では、昼間の「供給過多」による大規模停電の危険性さえ、生じている。つまり、太陽光など昼間に大量の発電が行われ、夜間は、発電量が激減するというアンバラスが生じるために、それを調整する必要があるのだ。そのために、昼間の余った電力で放水し終わったダムの下の水を、昼間のうちに電気を使ってダムの貯水池に上げ(揚水)、夜間に再び放水して、水力発電として使おうとするものだ。

 この発電の昼夜のアンバランスを調整するには、もう一つ大型蓄電池(大型NAS電池やレドックスフロー電池)に貯めて置く2つ方法がある。最近、太陽光発電が急速に増加して、この電気エネルギの供給と需要のアンバランスが激しくなり、九州を始め、太陽光発電の比率の高い地域での制御が、年々、難しくなっている現状である。そう言う事で、自然エネルギー増やすだけでなく、昼間と夜間のエネルギーのバランスが、今後、大きな問題となってくるのである。

 現在でも夏場の晴天の昼間の太陽光発電の大量の電気で大手電力会社の入力限界になる日が、たびたび起きている。許容限界を超すと大規模停電となってしまう。そのために、余剰の電力を大型蓄電池だけでなく、水素を作るために利用していこうという考えも出てきている。つまり、昼間の余剰電力で、水を電気分解して、水素を作っていこうという試みである。この試みは、2018年4月に、旭化成は、福島県相馬市とIHIが2018年4月に開所した「そうまIHIグリーンエネルギーセンター」内に大型電極を用いたアルカリ水電解設備を設置し、2社共同で再生可能エネルギーを用いた「グリーン水素」製造の試験運転を開始したと発表した。

 同設備は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託を受けて開発した世界最大の電極面積を有する大型アルカリ水電解設備を活用しており、引き続きNEDOの助成を受けて同試験運転を行う。最大水電解電力は120KWで水素製造能力25Nm3/h(ノルマル立方メートル毎時) 旭化成のこれまでの試験研究では、90%を超える高いエネルギー効率と優れた変動出力応答性を有することを確認済みとしており、試験運転では設備を実際に太陽光発電設備と連携運転させ、実用性を検証する予定だ。試験運転は2020年3月まで行う計画となっている。

 これが、自然エネルギーのアンバランスという大問題の解決策として有望視されている。更に、ドイツでは、火力発電所から改修したCO2を反応させてメタノールなど燃料にする事でカーボンフットプリントの削減に取り組むプロジェクトに参加した。いわゆる、一挙両得というわけた。この点で、世界中でも、日本が最初に、水素合成に積極的に取り組んできたメリットが生じる可能性が高い。この発表を見た、智考進は、もちろん、小躍りして喜んで、このプロジェクトに積極的に関わっていこうと心に誓った。

9話:智考進の結婚(201804-10)

 智考進は、NEDO主導の新エネルギー・プロジェクトのメンバーの若手6人で(SM電工(横浜市)の池田信夫とTYT自動車の山田光男、JFEの池田亘、風力発電のRVAの木下康夫、タクマの岩井義彦)と特に仲良くなっていった。智考進は、NEDO主導の新エネルギー・プロジェクトのメンバーとして、会議に毎月の様に出かけた。この会議には、京浜工業地帯(横浜、川崎、東京、千葉)と日本最大の水素製造工場の福島、バイオ水素の北海道、太陽光発の盛んな九州、水素自動車に熱心に取り組む名古屋のTY自動車の関係者も多く出席した。その中でSM電工(横浜市)の池田信夫とTY自動車の山田光男、JFEの池田亘、タクマの岩井義彦、風力発電のRVAの木下康夫達と、会議の後に、飲み会をするのが楽しみになった。飲んでも、仕事の話ばかりで、日本の新エネルギーに対する熱い意見のぶつかり合いもあった。

 その会議は、毎月のように開かれ、司会のアシスタント・アナウンサーの日産自動車の藤山加奈子さんとトヨタ自動車の仁科好子さんが参加するようになり、華やかな宴となった。智考進は、飲み会の席で、新エネルギーについて何か意見を言う、突っかかってくる1歳年上のトヨタ自動車の仁科好子と馬が合うようであった。その後、彼女からドライブの誘いを受けるようになり、鎌倉、逗子、三浦海岸とか、西湘バイパスから箱根とかドライブするようになった。そのうちに、智考進が、自宅に招いて、夕飯を智考家族と一緒にとる機会も出てきた。智考進の誕生日に、誕生日プレゼントを持参して訪ねてきたとき、家を見せてもらえますかと言い、智考進が案内した、太陽光発電と太陽熱温水器を見て、すごいわね。流石、新エネルギープロジェクトメンバーですね、エコを実践していらっしゃると笑った。

 智考進が、それなら一緒になろうかと冗談半分でいうと真っ赤な顔して少し考えさせてとうつむいた。智考進の母が家の見学を済ませてきたときに、顔色が変わったのを、察知してどうしたのと言うと、智考進さんが、一緒になろうかと、冗談言うんですものと、また、うつむいた。おかあさんは、まーまー、若い人って、せっかちねとと言い、好子さんにも心の準備ってものがあるんだから、考えてあげなさいと智考進さんを軽く叱った。それを見ていた、父が、うちには女の子がいないし、一人っ子だから、あたらしい家族ができたらありがたいねと笑った。おかあさんが、男の人って、女性の微妙な心ってものを全然理解できないだからもー、と怒った顔をした。

 仁科好子は、その後、珈琲を飲んで智考家族にお礼を言って帰って言った。帰った後、おかあさんが、あの子、あんたに気があるよと智考進に言った。良い子じゃないか、結婚しちゃえと、父が茶化した。その、母の予想が的中して数ヶ月後、智考進がプロポーズすると1歳年上でも良いのと仁科好子が言うと「1歳年上の女房は金のわらじを履いてでも探せ」というから、むしろ歓迎だよと智考進が答えた。この言葉で、私で良ければと仁科好子が智考進がプロポーズを受諾した。

 智考進が家に帰って話すと、両親が大喜びしてくれた。父が、この家で良ければ2階の2部屋、使ってても良いよと言ってくれた。その後、結婚式を2019年6月15日、ホテルニューグランドで行う事を決めた。この結婚に刺激されたのか、JFEの池田亘とNS自動車の藤山加奈子さんが、急接近して、デートを重ねるようになった。そして、2019年10月12日に結婚する事が決まったと知らせが入った。

10話:娘、智考里美の誕生、バイオマス見学(202001-08)

 智考進が好子と結婚して翌年の2020年3月に智考里美と名付けた、女の子の赤ちゃんが誕生した。これには、智考家では、大喜びで、赤飯炊いて祝福した。5月に家に帰ってきて、里美の愛くるしいかをも見たとたん、智考進もお父さんもお母さんも、にっこりと笑って、いつまでも可愛い笑顔を眺めていた。今年の夏休み、智考進は、10日間の夏休みを取って、里美をあやしたり、見に回りの世話は、ベビー用品の買い出しを手伝った。

 2020年9月、仕事に戻った智考進は、NEDO主導の新エネルギー・プロジェクトのメンバーの若手6人で(SM電工(横浜市)の池田信夫とTYT自動車の山田光男、JFEの池田亘、風力発電のRVAの木下康夫、タクマの岩井義彦)が北海道での牛の糞尿からのバイオガスでを燃料として発電する施設を見学に出かけた。自然エネルギーの必要性が叫ばれ出して、当初、大規模太陽光発電、大規模風力発電、小水力発電と続いた。水素社会も、有害排出物を出さないエネルギーとして、将来、有望視されている。しかし、身近に、家畜の糞尿や間伐材、下水道処理場、製紙工場のパルプカス、米、麦の分解物などから、バイオ発電ができ、その発電能力は、牧畜、乳牛が盛んな北海道で、大型施設ができはじめた。

 1つ目の場所は北海道のほぼ真ん中に位置する鹿追町(しかおいちょう)である。山に囲まれた高原の町では約2万頭にのぼる乳牛を飼育している。乳牛から毎日大量に発生するふん尿は町営の「環境保全センター」に集めて処理する(図2)。1日あたりの処理量は130トンにのぼる。このセンターの中には、ふん尿を発酵させてバイオガスを生成するプラントがある。2種類の発酵槽を使って生成したバイオガスは発電機の付いた燃焼装置に送って、電力・温水・蒸気をセンター内の各施設に供給している。ふん尿からバイオガスを生成して、発酵させ、発生するバイオガスでと発電機を回し発電する。発電機の能力は200kW(キロワット)で、1日に4000kWh(キロワット時)の電力を供給することができる。一般家庭の使用量(1日あたり10kWh)に換算すると400世帯分に相当する。

 ただしバイオガスは1日に3900立方メートルも発生するため発電で使い切れない余剰分は燃やして処理している。バイオガスの主成分はメタンガス(CH4)で水素(H2)を作ることが可能だ。このバイオガスプラントに水素の製造装置を導入するプロジェクトが始まっている。製造した水素は鹿追町内だけではなく近隣の帯広市にも輸送して、燃料電池や燃料電池車・燃料電池フォークリフトなどで利用する構想だ。環境省が推進する「地域連携・低炭素水素技術実証事業」の1つとして、2015~2019年度の5年計画で実証を進めていく。

11話:バイオガスを燃料に電気にしたり、水素を製造へ(202001-08)

 バイオガスプラントには水素製造装置に加えて、水素ガス貯蔵タンクや水素ステーションも併設する計画である。タンクに貯蔵した水素ガスはボンベに入れて畜産農家や競馬場まで運び、燃料電池を使って電力と温水を供給できる。家畜のふん尿から作った再生可能エネルギーを水素に転換して、送配電ネットワークを使わずに農業地域の広い範囲で地産地消する試みだ。同様に乳牛のふん尿を利用した大規模なバイオガス発電プラントが東部の別海町(べつかいちょう)でもに稼働していた。別海町では11万頭の乳牛を飼育していて、ふん尿の量は鹿追町をはるかに上回る。バイオガスによる発電能力は1800kWに達して、年間に1000万kWhの電力を供給できる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)で2800世帯分に相当する規模だ。別海町の総世帯数(6400世帯)の4割強に匹敵する。

 それでも処理できるふん尿の量は1日で4500頭分に過ぎない。さらにプラントを拡大してバイオガスの生成量を増やせば、水素の製造拠点として発展する余地は大いにある。北海道では国が推進する水素社会をにらんで「北海道水素社会実現戦略ビジョン」を2016年1月に策定した。各地域に分散する再生可能エネルギーを生かしながら、CO2(二酸化炭素)フリーの水素を製造して低炭素な街づくりを推進していく。それに加えて室蘭市が運営する「蘭東下水処理場」で、2016年4月中にバイオガス発電設備が運転を開始している。

 「蘭東下水処理場」で実施するバイオガス発電事業。グリーンエネルギータウン構想では再生可能エネルギーの電力を拡大するのと同時に、余剰電力を使って水素を製造する。さらに製鉄所でも鉄を作る工程で水素ガスが副生物として発生することから、両方の水素をエネルギー源として利用できるように地域内に水素の供給インフラを整備する計画だ。「室蘭グリーンエネルギータウン」の構想。室蘭市では2020年末までに再生可能エネルギーと水素エネルギーの導入量を2012年度の2倍に拡大することが当面の目標になる。そのうえで電力・ガス・水素・熱のネットワークを市内に拡大して、住宅や工場、自動車やバスにもCO2フリーのグリーンなエネルギーを供給していった。

12話;北海道での水素ステーション開設、増加(202001-08)

 太陽光や風力で作った電力からCO2フリーの水素を製造して燃料電池で利用する取り組みをはじめ、家畜のふん尿や下水から水素を製造して地産地消する試みも始まる。なお、エア・ウォーターによると、北海道内では室蘭市の移動式水素ステーション、鹿追町の定置式水素ステーション(いずれも実証用)に続く3カ所目の水素ステーションになる。水素ステーションが4月下旬に100カ所 計画より3年遅れ経済産業省は23日、今春に新たに8カ所の水素ステーションが開所することとなり、国内の水素ステーションが合計100カ所になると発表した。政府は2015年に水素ステーション100カ所を計画していたが、3年遅れ2018年で実現する見通しだ。

 エア・ウォーターが「移動式水素ステーション札幌」を3月26日、ふくしまハイドロサプライが「ふくしま移動式水素ステーション」(2カ所)を3月28日、清流パワーエナジーが「OKB大垣養老水素ステーション」(2カ所)を3月29日、日本エア・リキードが「川崎水素ステーション」を3月30日、山本石油が「山本石油水素ステーション恵那」(岐阜県恵那市)を4月7日、岩谷産業が「イワタニ水素ステーション岡山南」を4月26日にそれぞれオープンする予定。
 
 経済産業省では水素社会の実現に向けた取り組みを推進しており、燃料電池車(FCV)の普及拡大に向けては水素基本戦略や水素・燃料電池戦略ロードマップに基づいて商用水素ステーションを2020年度までに160カ所程度、2025年度までに320カ所程度整備することを目指しているまた、3月に設立された「日本水素ステーションネットワーク合同会社」(JHyM)が中心となって今後、水素ステーションネットワークは拡大する見通しだ。 これは同政府の補助金により、水素ガス精製、液化水素製造、陸上輸送および積出のパイロット実証と、水素サプライチェーンの商用化に関する検討を行うもので、実証設備の建設は、2019年から順次開始する予定。最初の水素製造および輸送試験は、2020~2021年の間に実施する計画だ。

 輸送機器製造や各種産業用プラント建設の実績を有する川崎重工は、今回の実証で、日本での水素のトップサプライヤーである岩谷産業とともに、液化水素積荷基地の建設および運用評価を担当する。クリーンコール技術に実績のある日本最大の卸電力会社であるJパワーは、褐炭をガス化し、製造された水素ガスの精製設備を整備する。丸紅は国際的なエネルギー流通のノウハウを生かし、それぞれの実証を基に将来の商用サプライチェーン構築に向けた具体的な道筋を構築。AGLは、褐炭の供給とガス精製設備の建設地を提供する。

 なお、今回の実証はCO2フリー水素サプライチェーン構想に含まれるガス精製設備、水素液化および積荷基地に関するものとなる。それ以外の褐炭ガス化設備、液化水素運搬船、液化水素貯蔵・揚荷設備については、既に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から補助金を受けて川崎重工、Jパワー、岩谷産業、シェルジャパンが「技術研究組合CO2フリー水素サプライチェーン推進機構(HySTRA)」を設立し、実証事業活動を開始している。

13話:新しい太陽電池開発と省エネ対策(202001-08)

 2018年4月に塗布プロセスで製造可能なペロブスカイト太陽電池が、東大と有名化学メーカーで開発され、話題となった。これによって、家の屋根や、壁に塗ることができるようになる。この塗って使うペロスカイト太陽電池で、太陽光発電は一層身近になると考えられた。

 大手硝子メーカーが2017年12月13日、茨城県の鹿島工場にネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)施設の建設を開始したと発表した。2018年12月に竣工する予定で、同社の「省エネ・創エネ」製品を活用して114.7%のエネルギー削減を達成する見込み。同社の遮熱・断熱製品であるLow-E複層ガラス「サンバランス トリプルクール」やウレタンフォーム断熱材原料「エクセノール」を採用した。省エネ製品によるエネルギー削減率は50.4%である。

 さらに、「創エネ製品」として、ガラス一体型太陽電池モジュール「サンジュール SUDARE」を窓に採用した。単結晶シリコンのセル(発電素子)を短冊状にレーザーカットすることで効率を維持しながらシースルー(透光性)を実現した。1枚あたりの出力は60W/m2(平方メートル)、変換効率は6%。本事務所棟には、設置容量111kWの屋根上太陽光パネルと同14kWのサンジュール SUDARE(片面受光タイプ)を備えた。発電した電力は全量を自家消費する。エネルギー削減は64.3%を見込む。

 窓に「ガラス一体型太陽電池」サンジュール SUDARE(片面受光タイプ)は横浜市の神奈川県庁でも採用されて使われ始めた大手硝子メーカーの茨城県の鹿島工場にネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)施設更に、夏場の遮熱性は約1.8倍、冬季の断熱性は約3.7倍の窓を2重化できる。省エネ2重硝子「アトッチ」つまり、ビルや、家の省エネ対策を十分に行い、必要なエネルギーを下げることと、窓、壁で太陽光発電をする事によりダブル効果で必要エネルギーを減らす事ができるのだ。国は、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギービル)、省エネルギービルの普及に努めだした。日本では、オフィスビル等を中心とする業務部門のエネルギー消費が増加したまま高止まり傾向にあり、エネルギー消費の少ない建物の積極的な普及が望まれています。

  ZEB(Net Zero Energy Building)とは、1:建築構造や設備の省エネルギー、2:再生可能エネルギー・未利用エネルギーの活用、3:地域内でのエネルギーの面的(相互)利用の対策をうまく組み合わせることにより、エネルギーを自給自足し、化石燃料などから得られるエネルギー消費量がゼロ、あるいは、概ねゼロ、となる建築物のことをいいます。つまり、太陽光、風力、小水力、地熱、バイオガス発電でCO2フリーのエネルギーを作り出し、水素のようなCO2フリーの燃料を使った、バス、自動車、船など、内燃機関を使うことにより、CO2を削減していこうとするもである。

 省エネ、ZEB、ZEHも使う燃料を少なくし、収支0、将来的には、ビルや家屋で、収支でプラスにして、エネルギーを作り出す時代がやってくるわけである。2020年を迎えて、企業ビルやコンビニ、スーパー、デパートのZEB(ネット・ゼロ・エネルギービル)予想以上のスピードでに増え、企業がビルの経費節減に積極的であり、結果的にエネルギー消費量が減少してきた。更に、新素材や、ビルの外壁に塗れる太陽電池、光を通す太陽電池(窓に使える)、低コストの集光型太陽電池の出現が起きて、昼間の自然エネルギーの製造量がが飛躍的に伸びてきた、その対策として、余剰電力を使い、水素製造工場に送られるようになった。

14話:遠距離送電線と北海道での水素製造(20201-12)

 智考進は、2020年の新エネルギー・プロジェクトにJXHDの山田哲部長と米田孝課長とともに3人で、会合に出かけ、会議の後に、その中の親しくなった若手メンバー、SM電工(横浜市)の池田信夫とTYT自動車の山田光男、JFEの池田亘、風力発電のRVAの木下康夫と、安く大量のアンモニウムを製造法とアンモニアから簡単に水素へ作る改質プラントの成功の話をしたところ、これについては、みんなも知っており、画期的な素晴らしい仕事だと言い、水素社会到来を早める、大発明だと賞賛していた。

 その時、SM電工(横浜市)の池田信夫がそれは確かに素晴らしいが、でも、自然エネルギーを東北、北海道でいくら作っても大都市、関東、関西、中部へ送る時に送電ロスが発生すれば、仕方がないと言った。つまり、自然エネルギーで作った電気を500から1000km離れた、大都会に送る方法を改善しなければ、ロスが大きいと言った。そのために、現在の交流高圧送電システムを使うか、新しく直流送電システムを使うかで議論になっている様だ、北海道や東北から東京までの距離を考えると、新しく直流送電システムを使おうかと、現在、既に2年以上、石狩でテストを開始している。既に、北欧では、国をまたいで、電力のやりとりをしている。まだ、どっちにするか、決まっていない。SM電工(横浜市)の池田信夫は、長距離の送電線を直流にして、一気に東京へ送り、東京で直流を交流に変換して利用する方法がコスト的に安く良いだが、多くの問題点も残っており、現在の交流、超高圧電流送電法で行くという判断がなされたようだと言った。2018年から、北海道で自然エネルギーでできた電力を青函トンネルの中を通して本州へ送ると言う結論になった。

 商業用では北海道では初という水素ステーションが札幌市に開設した。産業ガスメーカーのEW社が運営する水素ステーションで、1時間に2台の燃料電池車に水素を供給できる。エア・ウォーター社はこのほど、商業用の水素ステーションとしては北海道では初(同社)という水素ステーション「エア・ウォーター移動式水素ステーション札幌」(札幌市)の運用を開始した。同社は、北海道内で唯一、産業用の水素ガスを製造・供給している産業ガスメーカー。水素に関する知見や技術を生かし、北海道での水素エネルギー社会の実現に向けて、各自治体と連携を続けながら、燃料電池車(FCV)や燃料電池フォークリフトなどの普及促進に関する取り組みを積極的に行ってきた。

 具体的には、2016年4月に室蘭市が整備した移動式水素ステーションの設計・製作を行った他、同市からの委託を受けてこの移動式水素ステーションの運用・管理業務を実施している。また、2017年1月には、環境省からの委託により鹿追町に水素製造・供給施設「しかおい水素ファーム」を開所し、家畜ふん尿由来の水素ガスを活用した水素サプライ・チェーンの実証事業を行うなど、低炭素な地産地消型水素エネルギー社会の実現に向けて貢献することを目指している。今回運用を開始した、エア・ウォーター移動式水素ステーション札幌は、札幌市が策定した「札幌市燃料電池自動車普及促進計画」に基づき、同社が北海道内におけるFCV普及促進の一助とするため、次世代自動車振興センターの「水素供給設備補助金」、北海道の「水素ステーション整備事業費補助金」および札幌市の「水素供給設備整備事業費補助金」などの交付を受けて、整備を行った。FCVに充填圧力82MPa(メガパスカル)の水素を約3分間で充填(じゅうてん)できる機能を、40フィートコンテナ内に搭載した移動可能な水素ステーション。供給能力は117Nm3/h。この能力はFCV1台に充填する水素量を5kg(56Nm3)とした場合、1時間当たり2台に充填が可能だ。

 その後、電気自動車という流れが一気に水素燃料電池車に世界の自動車業過の潮流が変わってきた。大型アンモニア製造工場のとなりに、アンモニア電気分解・水素製造工場を作るシステムを考えた。一部には、水素ステーションの近くに小さなアンモニア電気分解・水素製造工場をつくる所も現れた。2020年には、24時間体制でアンモニアを製造する体勢が整い、製造して大型タンクローリーで、水素ステーションへ運び、大型アンモニアタンクに入れ、そのアンモニアを水素改変装置に入れて、水素を取り出して、圧縮機荷掛、プレクーラーで冷やし、水素注入機から燃料電池車に液化水素をガソリンのよう車のに注入口から注ぎ込むのだ。アンモニアから水素に改変するため、改変プラントの近くに、六角形のプラント工場の各辺に1つずつの水素スタンドを作る格好になるかもしれない。輸送は、全て、高圧縮された液体アンモニウムとして、トレーラーで運ぶシステムにした。2025年以降には、ガソリンスタンドの半分の数の水素ステーションが完成し、ガソリン車の半分が燃料電池車になり、電気自動車は大幅に減る事になるだろう。

15話:その他の原料からの水素ガスを製造(20201-12)

 北海道における水素サプライチェーンが2020年に完成した。そのうちの1つ、鹿追町(しかおいちょう)は酪農が盛んな高原の町である。町内では乳牛のふん尿からバイオガスを生成して電力と温水を供給する設備が稼働中だ。新たに環境省から実証事業の採択を受けて、バイオガスから水素ガスを製造できる装置も導入する。太陽光発電や水力発電の導入量が多い山梨県でも、CO2フリーの水素を製造するプロジェクトが動き出した。

 山梨県と東京電力が共同で運営する「米倉山(こめくらやま)太陽光発電所」の電力を使って水素を製造する(図7)。さらに気体の水素を取り込む特性がある水素吸蔵合金などを利用して、製造した水素を貯蔵・輸送できる設備も整える。山梨県で実施するCO2フリー水素の技術開発プロジェクト。水素を製造・貯蔵・輸送する体制を整備したうえで、2020年度から県内の工場やスポーツ施設を対象に水素エネルギーを地産地消する社会実証に取り組む方針だ。

 太陽光による不安定な電力を使って水素を製造すれば、電力の安定供給とCO2の削減を両立できる。東京まで輸送して燃料電池に供給することが可能になる。2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは会場や選手村に燃料電池を設置するほか、交通手段として燃料電池自動車や燃料電池バスを利用する計画が進んでいる。東京都の交通局は2020年までに100台以上の燃料電池バスを導入する予定だ。2017年から2台の「トヨタFC(燃料電池)バス」を都内で運行して実用性を検証していた。このバスに搭載する水素タンクの容量は燃料電池自動車の「MIRAI」の5倍もあり、200キロメートル以上を走ることができる。当面は燃料電池自動車の生産台数が限られているため、水素ステーションの利用頻度は多くない。そこでセブン-イレブンの店舗にも燃料電池を設置して、水素エネルギーを活用した環境負荷低減の実証実験に取り組む計画だ。

 CO2フリーの水素が安価で大量に供給できる状況になれば、自動車と店舗の両方でCO2を削減できる。福岡市では下水を処理した水と海水を組み合わせて水素を製造するユニークなプロジェクトが始まっている。国土交通省が推進する「下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)」の一環で2016年度から事業化の調査に着手した。下水処理水と海水では含まれる塩分の濃度に差がある。2種類の液体の塩分濃度差によって「逆電気透析」と呼ぶ現象が起こり、電力を発生しながら水素を作り出す仕組みだ(図13)。この方法は海水から食塩を製造する技術を応用したもので、高純度の水素ガスを製造することができる。下水処理水と海水の塩分濃度差を利用した水素製造システム。福岡市に本社がある正興電機製作所が山口大学と日本下水道事業団と共同で開発プロジェクトを進めて、2030年に水素製造システムの実用化を目指している。

 下水処理場は処理水を海に放流するために海の近くに立地するケースが多く海水を取り込みやすい場所にある。すでに福岡市内の下水処理場では下水の汚泥から水素を製造して燃料電池自動車に供給する世界初の水素ステーションが2015年3月から稼働している。下水処理水と海水を組み合わせた水素製造システムを実用化できれば、よりいっそう製造量を増やせる見込みだ。海にも近いことから、将来は燃料電池を搭載した船に水素を供給することも可能になる。

 2017年、日本のある大学と日本企業が特殊な触媒上で低温かつ世界最高級の速度でアンモニアを合成の発明が2020年に大規模実証事件を経て実現した。これによってアンモニアと水素の製造価格が桁外れに小さくなった。もう1つのアンモニアから効率的に水素を取り出す製造装置を開発して、安く、効率的に大量の水素を作れるようになった。これらの発明により供給不安がなくなり、2020年に、水素製造工業、水素ステーション、水素自動車が急増した。

16話:水素燃料電池の船、バス東京五輪で披露1(20201-12)

 国土交通省は東京オリンピック・パラリンピックの輸送手段として燃料電池船の活用も想定して、2016年10月から安全ガイドラインの策定作業と実船による試験を開始した。試験に使うのは全長12メートルのアルミ製の小型船舶で、燃料電池と水素ボンベを搭載する。90kWの発電能力で最大11ノット(時速20キロメートル)の速度で走ることができる。水素を燃料とする船の実用化が現実味を帯びてきた。水素と酸素を反応させて発電し、モーターを動かす「燃料電池船」を東京海洋大が開発し、2016年10月に初めて東京湾をテスト航行した。国土交通省は2017年度末までに燃料電池船の安全基準を新たに設ける方針で、東京五輪・パラリンピックが開催される20年には、環境に優しい屋形船や水上バスが隅田川でみられるかもしれない。

 10月20日、東京海洋大の大学院生が操縦する燃料電池船「らいちょうN」が、大学に面した隅田川を航行した。全長12.6メートルの小型船で、時速13~15キロで東京湾へ下っていく。すれちがった水上バスとほぼ同じ速度だ。船尾に搭載したボンベ2本に水素が入っている。空気中の酸素と化学反応させて生じる電気と、あらかじめ充電しておいたリチウムイオン電池の電力を合わせてモーターを動かし、スクリューを回す。最高時速は約20キロ。13キロだと連続して約6時間航行できる。重油エンジンよりも静かで、排出するのは水だけ。排ガスのにおいはない。川や湾内に限った客船としては、技術面はほぼクリアしているという。

 普及に向けた課題はある。東京海洋大によると建造費用は重油船と比べて2~3倍。水素を供給する「水素ステーション」やリチウムイオン電池の充電設備も必要だ。さらに船に積み込む発電装置の小型化が求められる 実船試験は東京湾岸にある東京海洋大学から半径10海里(約18.5キロメートル)の範囲で実施する。安全性を検証しながら利用方法をガイドラインに反映して、東京オリンピック・パラリンピックでは海上でも水素エネルギーを利用できるようにする計画だ。

 世界が注目する一大イベントで日本の水素社会の先進性をアピールする。東京都の交通局が水素社会の実現に向けて燃料電池バスの運行を2017年3月21日に開始した。トヨタ自動車が市販する燃料電池バス2台を導入して、東京オリンピック・パラリンピックの会場周辺と東京駅を結ぶ。車体の上部に搭載した燃料電池2基と水素タンク10本で200キロメートルの走行が可能だ。いよいよ燃料電池で走るバスが東京都内で運行を開始する。東京都の交通局は2台の燃料電池バスを路線の1つで運行させる予定だ。運行する路線は公共交通のかなめになる東京駅と湾岸地域にある「東京ビッグサイト(東京国際展示場)」を結ぶ「都05系統」である。」

17話:水素燃料電池の船、バス東京五輪で披露2(20201-12)

 東京オリンピック・パラリンピックでは水素エネルギーを最大限に活用する予定で、交通手段として燃料電池自動車や燃料電池バスを大量に導入する。東京都は都営バスを中心に2020年までに燃料電池バスの台数を増やしていく。市販車のトヨタFCバスには燃料電池自動車の「MIRAI」向けに開発した技術や機器を搭載している。水素から電力を作る燃料電池スタックはMIRAI用の2基を組み合わせて最大で228kW(キロワット)の電力を供給できる。

 圧縮した水素を格納するタンクもMIRAIと同じ仕様のものを10本搭載する(MIRAIは2本)。燃料電池バスを導入するメリットは従来のガソリンエンジンやディーゼルエンジンを搭載したバスのような排気ガスがなく、水だけを排出する点にある。CO2(二酸化炭素)の排出量が少なくなって、騒音も低減できる。このところ増えてきたハイブリッドバスやCNG(圧縮天然ガス)バスと比べても環境性能は高い。トヨタFCバスは水素タンクが満タンの状態で200キロメートルを走行できる。水素タンク10本を空の状態から満タンにするまでに10~15分程度かかる。都営バスの営業運行に合わせて岩谷産業が2017年3月17日に「イワタニ水素ステーション 東京有明」を湾岸地域に開業した。当面は東京都を中心に普及させながら量産効果による車両価格の低下と水素ステーションの増加に伴って全国へ拡大させていく。同時に水素の需要を増やして国内の新たな産業として育成する。

 その一方で燃料電池自動車や燃料電池バスを災害時の電力供給源としても活用する。トヨタFCバスには最大で7.2kWの電力を外部に供給できる能力がある。供給できる電力量は235kWh(キロワット時)にのぼり、一般家庭の使用量(1日あたり10kWh)に換算して約24世帯分に相当する。災害時には燃料電池バスを避難所に移動して照明や空調の電力に生かす。東京都内で100台の燃料電池バスを利用できれば、災害時の移動電源車として大きな役割を果たせる。環境にやさしくて災害に強い水素社会に一歩ずつ近づく。

 東京都はオリンピック・パラリンピックを開催する2020年までに105台の燃料電池バスを運行させた。
 合わせて燃料電池自動車を6100台に増やし、都内の水素ステーションも35カ所に拡大すさせた。
 世界で最先端の水素社会を構築してオリンピック・パラリンピックでアピールした。 
 TY自動車は東京都や国が推進する水素社会に向けて、燃料電池バスの生産台数を増やしていく。
 2020年度には燃料電池自動車を月産10台のペースに引き上た。現在は1台で約1億円の車両価格を量産効果で大幅に低下させる。政府は自動車やバスが排出するCO2を削減するために、2030年度には燃料電池自動車を全国で80万台、燃料電池バスを1000台以上に増やす。

18話:水素のお陰で2050年までにCO2排出量削減目標へ大きく貢献(2021-25)

 2020年12月、世界初となる、水素利用の具体的な調査報告を公表しました。この報告書では、水素がエネルギー移行の主軸の一つであるということに加えて、2.5兆ドルに相当するビジネスと3,000万人以上の雇用を生み出せる可能性にも触れています。水素の大量導入により、2050年までに、水素利用はエネルギー消費量全体の20%を担うことが可能です。これにより、CO2排出量を、現状比で年間約60億トン減らすことができ、地球温暖化を2℃までに抑えるために必要なCO2の削減量の約20%を担うことができます。

 需要に関しては、Hydrogen Councilは2030年までに1,000万台から1,500万台の燃料電池乗用車ならびに50万台の燃料電池トラックが走ると試算しているほか、他の産業分野、例えば産業上の工程で、原材料、熱源、動力源、発電用、あるいは貯蔵して等々、様々な利用がなされると想定しています。この報告では、水素需要は2050年までに現在の10倍になり、2℃シナリオにおける2050年の最終エネルギー需要の18%に相当する量が、水素化されると見込んでいます。世界の人口が2050年には20億人まで増加すると見込まれる中、水素技術は持続可能な経済成長を生み出す能力を秘めています。TYでは「21世紀の世界は、低炭素エネルギーの使用を拡大する方向に移行しなければなりません。水素は、このエネルギー移行に関して欠かすことはできません。

 なぜなら水素を媒体とすることで風力、太陽光、そのほかの再生可能なエネルギーで発電された電力を貯蔵・運搬し、運輸など様々な分野で利用することが可能になるからです。水素協議会は水素が持つ7つの役割を明確にしましたが、このことを通じて政府や投資家に対し水素をエネルギー計画に組み込むようお願いしてきています。水素に根差した経済を早く実現することで、水素社会の実現に向け、皆がより一層力を合わせることができると考えています。今回の調査報告は水素をエネルギー移行の主軸の一つと位置づけるもので、私たちは水素の大量導入をサポートしていくことに自信を持っています。

 水素は、特定の分野や地域におけるエネルギー移行の際、欠かせないものになります。水素の利用をより早く行えば行うほど、我々は水素が経済と社会に与える恩恵を早く享受することができるようになるでしょう。産業界は水素技術導入を明言しています。水素は多様で安全なエネルギーであり、発電用、もしくは産業用原料として使われます。使用の段階ではエミッションを出さず、再生可能なエネルギーを電気や低炭素の化石燃料から作ることが可能なため、完全なゼロエミッションを達成することも可能です。

 水素は、運搬しやすい様に液体アンモニアの形で貯蔵・輸送でき、また必要な時に水素の改変して燃料として燃やす、また燃料電池で熱と電力を発生させることが出来るため、水素の利用は増え続けています。水素はこの多様性により、今後輸送、製造業、家庭用のエネルギーとして重要な役割を果たすことができると期待されています。また、再生可能なエネルギーを貯蔵できるという事でもあることから、エネルギー移行の様々な課題を解決できると期待されています。

19話:水素を利用した燃料電池システムの完成1(2021-2025)

 智考進は太陽電池や風力発電など自然エネルギーを使った電気で水の電気分解して水素を製造する研究をする様に会社から言われていたが理論的には良いかコスト的に高く競争力がないのではないかと内心、心配していた。
 
 そんな2017年6月、早稲田大学と日本触媒が特殊な触媒上で低温かつ世界最高級の速度でアンモニアを合成できることを明らかにした。1日に数10~100トン規模のアンモニア合成プラントの実現が期待できるという。
 更に、2017年6月に日本の大分大学と日本のある企業が共同してアンモニア(NH3)から高効率に水素を取り出せる低コストな製造装置を開発した。この2つの発明により、水素の製造コストは飛躍的に安くなる。
以前の1/100~1/1000になる可能性があるのだ。

 智考進はNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のスタッフとして、この分野の専門家として、この2つ研究チームを訪問してアンモニアの大規模合成工とアンモニア分離水素合成工場の実証実験の話合いに参加した。
 そこで、実証実験の規模や期間と要求したい補助金の額を打ち合わせた。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)としても非常に注目しているプロジェクトなので、必要な時は、智考進に連絡して欲しいと伝えたところ、補助金はは非常に助かると歓迎された。その後もこの2つ研究チームのサポート継続していた。

 アンモニア合成工場の実用実験を、京浜工業地帯(横浜)で2020年までに終え、2020年までに九州、阪神、北海道の工業地帯で大型アンモニア合成工場を作った。そして、アンモニアから水素を効率的に分離して合成する大型プラントも京浜工業地帯(横浜)で作り、実証実験を2020年まで終了し、小さなアンモニア分離水素合成プラントを水素スタンドに併設する実験や、大型水素合成工場の回りに集中して水素スタンドをつくる計画を考えていた。2020年に後者の大型水素合成プラントに工場の回りに集中して水素スタンドつくる方式がコスト効率が良いと言う事で採用された。そして、北海道、福島、横浜、川崎、千葉、大阪、神戸、北九州、宮崎に大規模なアンモニア合成工場とアンモニア分離・水素工場を建てた。

 これにより太陽光発電、風力発電、バイオマス発電などでできた電気を使いアンモニアに電気を加えて電気分解させ水素を分離・合成できたので高効率に安価な水素を作れるのことになった。これらの新しい発明で、一気に水素燃料電池車に世界の自動車業過の潮流が変わってきた。その後は日本の各自動車メーカーが、水素燃料電池車を開発し、多くの水素燃料電池車を発売することになっていった。水素自動車の航続距離の長い特長を生かして全国のアンモニア合成工場と近くのアンモニアから水素合成する工場が全国に10ヶ所できて、2021年に日本に水素社会がやってきた。

20話:水素を利用した燃料電池システムの完成2

 智考進は、この画期的な発明だけではなく、いくつものたゆまぬ研究が、技術立国、日本の底力だと感じで、非常に誇りに思った。これら技術が欧州で評価され、ドイツでの水素合成・大型プラント建設に日本の技術が使われるようになり、世界的に広まっていった。この時代、日本の地方の過疎化がひどく、地方の再生のために、政府、地方と企業が一体となって若者に地方の自然エネルギー関連施設で働いてもらうように、工場近くに、スーパーや社宅マンション、保育施設、小中学校を整備して働き易い様な制度を設けるようにした。
北海道、東北、九州などで、こういうコンパクトシティが、つくられるようになった。
 また、2020年には、外国人労働者の労働ビザの解禁と、労働のための条件、例えば日本語の習得ではなく、日常英会話ができるとい言う条件に緩和され、労働ビザの改善により、東南アジア、アフリカからの労働者が増えていき、日本の労働者不足が少しずつ改善していった。まず、

 京浜、中京、阪神、北九州、工業地帯に大きなアンモニア製造、水素製造プラント工場が作られた。
 これによって水素社会で世界を完全にリードすることとなった。以上の2つの新技術の完成により2022年には、日本が世界の水素社会の到来の先導役になった。まず太陽光で余った電気を大きな蓄電装置に蓄えたりアンモニア合成、アンモニア分解し水素製造。各プラント、工場は24時間稼働で動いて、日本の水素エネルギーのシステムが完成してのは2025年だった。2025年を頃には日本がアンモニアや水素を輸出する程になっており、首都圏、中京圏、大阪圏、北九州圏、東北圏、北海道に巨大なアンモニアや水素製造工場が作られた。そのシステムが米国、欧州に瞬く間に広まっていった。その後、東南アジア、ロシア、中国、アフリカ、南米、オセアニアと日本の技術で大きなプラントが完成していき、エネルギー問題や、CO2排出の問題も改善していった。
 
 2025年10月12日、智考進は、奥さんと、娘の里美と両親の5人で、久しぶりに、5日の休暇をとり、箱根、伊豆の温泉巡りをした。もちろん、水素自動車に乗り、西湘バイパスで湘南の海を左に見て、前方には雪をかぶった壮麗な富士山、小田原から、ターンパイクに入り、芦ノ湖で遊覧船に乗り、強羅温泉に泊まった。翌日は、伊豆湯ヶ島、下田で、下田温泉に宿泊し東伊豆を伊東を抜けて熱海へ、熱海の温泉に1泊した。熱海の寿司屋では新鮮なネタであり、美味しかった。朝風呂に家族出て行く事になり、最上階の露天ぶろに入った。露天ぶろから熱海の海に昇る朝日を見て以前にも増して、きれいな朝日のような気がして、もしかしたらCO2排出削減で、空気がきれいになってるせいなのかも知れないと、心の中でつぶやきながら風呂から見える朝日を楽しんだ。
 朝食後、父と、娘の里美が成人する頃には、もっと、きれいな世界になっていて欲しいなというと、里美がそうだねと、智考進の顔を見つめる、可愛らしい顔を見たとき、今までの自然エネルギー開発の仕事が走馬燈のように次々に思い出され、目頭が熱くなり、この仕事を続けて本当に良かったと再認識するのであった。(終わり)

日本の智考進、世界を救う!

日本の智考進、世界を救う!

智考進は、数学が得意で好きだ。大学時代に米国留学で、米国人のエネルギーの必要以上の豊かな生活や大量消費を見て、何て奴等だと幻滅した。その後、日本で水素エネルギーの研究に携わり、 NEDOのメンバーに入り、水素社会到来に貢献した。その後、結婚し、子供が生まれ、この子が大きくなる2050年が今より、良いを地球になる事を願った。

  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-06-13

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  1. 1話:米国留学で知った現実1
  2. 2話:米国留学で知った現実2(201701-2001801)
  3. 3話:水素関連の大手石油会社に入社(201204-10)
  4. 4話:ZEH,、ZEB対策が活発化と新製品発売(201504-12)
  5. 5話:家庭用太陽光発電装置の設置(201510-201512)
  6. 6話:2016年以降、開始されるバイオマス発電(201601-12)
  7. 7話;横浜での風力発電で水素製造(201707-12)
  8. 8話:太陽光発電が電力の安定供給に深刻な影(201804-10)
  9. 9話:智考進の結婚(201804-10)
  10. 10話:娘、智考里美の誕生、バイオマス見学(202001-08)
  11. 11話:バイオガスを燃料に電気にしたり、水素を製造へ(202001-08)
  12. 12話;北海道での水素ステーション開設、増加(202001-08)
  13. 13話:新しい太陽電池開発と省エネ対策(202001-08)
  14. 14話:遠距離送電線と北海道での水素製造(20201-12)
  15. 15話:その他の原料からの水素ガスを製造(20201-12)
  16. 16話:水素燃料電池の船、バス東京五輪で披露1(20201-12)
  17. 17話:水素燃料電池の船、バス東京五輪で披露2(20201-12)
  18. 18話:水素のお陰で2050年までにCO2排出量削減目標へ大きく貢献(2021-25)
  19. 19話:水素を利用した燃料電池システムの完成1(2021-2025)
  20. 20話:水素を利用した燃料電池システムの完成2