冤罪(作・千代藻乱馬)

お題「校門」で書かれた作品です。

冤罪

 目覚まし時計が鳴るより先に目が覚めた。ここ一週間ほど雨が続いていたおかげで頭が痛かったが、今日はスッキリしていた。ベッドから起き上がりカーテンを開けると外は晴れていた。朝日が僕の目を刺激して、あくびが出た。久しぶりに学校に行く気分になれた。制服に着替えていると遅れて目覚まし時計が鳴り響いた。目覚まし時計に、おはようと声を掛け眠らせてあげた。
 リビングへ行くと父がコーヒーを片手に新聞を読んでいた。
 「おはよう。」
 「おう。今日は晴れたぞ。」
 「うん。今日は学校行くつもり。」
 「そうか。早く飯食えよ。」
 「はい。」
 父との会話は必要最低限のものだけでお互いに深くは干渉しない。むしろ、これ以上の会話は退屈だ。
 朝食を食べ終わり、歯磨きをし終わる頃には父はもう家にいなかった。僕もそろそろ学校に行く時間だ。
 「お母さん、いってきます。」
 仏壇にそう言い残して家を出た。
 久しぶりの外で目に入るものが全て新鮮に感じた。連日の雨で地面には所々水溜りが残っていた。橋の上で小学生が川を眺めながら、「白鳥!白鳥!」と叫んでいた。小学生の視線の方を見てみると白鷺が一羽水浴びをしていた。小学生に、あれは白鳥じゃなくて白鷺だと教えてあげようかどうか、くだらないことを考えているうちに頭が痛くなってきた。
 いつもと変わらない通学路を通っていると次第に校門が見えてきた。校門の前では生徒会が服装検査をしている。今日は火曜日だった。もちろん、検査に引っかかったことはない。今日も当然そのつもりだった。
 「タカギ君、制服泥だらけだけど。」
そんなはずは無かった。しかし、制服に目をやると泥だらけだった。
 「あれ、なんでだろう。」
 頭が痛くなってきた。

*

 目覚まし時計より先に目が覚めた。今日は俺の日では無かった。少し眠ることにした。次目が覚めると、橋の上にいた。目の前に小学生がいる。小学生は、川に向かって「白鳥!白鳥!」と叫んでいる。その視線の先には白鷺がいた。俺はその間違いを真っ先に訂正した。
 「あれは、白鳥じゃなくて白鷺だよ。」
 小学生が驚いた顔でこちらを見ている。その顔は少し曇っていてお世辞にも嬉しそうではない。
 「あれ白鳥でしょ。だって白いもん。」
 「あれは、白鳥じゃなくて白鷺だ。」
 せっかく教えてあげたのに最近の若い子はお礼も言えないらしい。その時、俺の中である感情が芽生え始めていた。あえてその感情を言葉で表すなら怒りだった。

 *

 いつもと変わらない通学路を通っていると次第に校門が見えてきた。

冤罪(作・千代藻乱馬)

冤罪(作・千代藻乱馬)

彼との出会いは僕の運命を変えた。

  • 小説
  • 掌編
  • ミステリー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-06-12

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