*星空文庫

【掌編小説】塩

トモコとマリコ(六井 象) 作

 早朝、寝室の窓をコツコツと叩く音で目が覚めた。
 カーテンを開けると、塩の小瓶がふわふわと浮かびながら窓を叩いていた。
 しばらくじっと見つめていたら、塩の小瓶はふいに回れ右をし、庭先で遊ぶ雀たちに塩をふりかけたりして、ちょっかいを出し始めたのだが、朝日が昇り、勤め人たちが忙しく行き交うような時間になっても消えず、それどころか時折ちらちらとこちらの様子を窺うように、動きを止めるところを見ると、あの塩の小瓶の目的というか標的は、やはり私らしいということが段々とわかってきた。
 雀の姿もまばらになった庭の土に、霜が降りたように塩が降り積もっていた。

『【掌編小説】塩』

『【掌編小説】塩』 トモコとマリコ(六井 象) 作

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2018-06-12
Copyrighted

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