【掌編小説】塩

六井 象

 早朝、寝室の窓をコツコツと叩く音で目が覚めた。
 カーテンを開けると、塩の小瓶がふわふわと浮かびながら窓を叩いていた。
 しばらくじっと見つめていたら、塩の小瓶はふいに回れ右をし、庭先で遊ぶ雀たちに塩をふりかけたりして、ちょっかいを出し始めたのだが、朝日が昇り、勤め人たちが忙しく行き交うような時間になっても消えず、それどころか時折ちらちらとこちらの様子を窺うように、動きを止めるところを見ると、あの塩の小瓶の目的というか標的は、やはり私らしいということが段々とわかってきた。
 雀の姿もまばらになった庭の土に、霜が降りたように塩が降り積もっていた。

【掌編小説】塩

【掌編小説】塩

  • 小説
  • 掌編
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