*星空文庫

ジューリア

西園寺リルケゴール 作

ジューリア

   







   





     たとえ、



   






                    カメラが監視していたとしても



   



             テープが盗み聞きしていたとしても



   

 








     あたしと 



   







                       愛し合ってくれる?



   







   







   
      強引にフィードバックされる未来を



   


       恐れるゆえに、



   





     ブラウン管の狂信者たちの目を逃れ



   


            人口光に潰されたあなたは、



   







     絶え間なく部屋に 押し流される



   


       ヴィデオ・クリップ の



   







                禁じられた



   


                           停止を夢む。



   







   







   


      節操なくプログラムを変えていく



   


      誰かのシャドウ・ワークのために、



   



        ICチップのモザイク画に張り詰められた



   


               あなたの表情は、



   



             鏡の顔がこぼす警告に     歪んで見える。



   







   







  

      イコライザー・ボイスが連呼する「新世界」を



   


       限りなく偽るあなたは、



   







          部屋の外から強いられる 無自覚に進行する<劇場>の



   


          通告なきセリフを、



   








              力なく



   


                     リップシンクしてるだけ。 



   







   







   

     恋人の睦言が死んでいく時間に



   


                     トリッキーに空白の飢えをしのいだ



   


           あたしは、



   






      きっと同じ詩の記憶に



   



      あなたを選び出したのだ。



   







   







  
            歴史の弾けた屋上で



   








                       あたしのいる 罪の側で。



   







   







  
         そしていつか、



   




               あたしはあなたを  



   


       
                            売るかもしれない。



   







   







  

           だけどまだ あたしは



   


               忘却の寸前まで 考えているだろう



   











      無残な有機物の残骸になったあなたと



   



                再びこの路上で 



   


                       出会わないことを。



   







   







     むこうみずな求愛のために



   


       あなたが         ただ   



   



                   死んでいってくれるのを。



   







   







 

     そして どこかに打ち捨てられる 身体の小片に



   



     あたしのあげた       欲情に触れて感じた、



   




           古い淨福を        覚えていてくれることを。



   







   







  
         ・・・・・・媚態でも  反逆でもなく、



   


         ただの他愛ない



   


                 つぶらな胸の歓びだった       それを。



   







   







 

     そんな あたしのなかの



   



                     潤いの雫で夜を飲みほす丘陵を、



   




              ・・・・・・身震いしつつ



   



     指先でたどって



   


          息を吹き込み



   



                眺め入ってた    



   


     
                         あなた。


   







   







 

         あたしを



   







                         愛してくれる?



   







   







   

『ジューリア』

ジューリア(Julia)とはジョージ・オーウェルの小説『1984年』に出てくる女性。

作者ツイッター https://twitter.com/2_vich

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先端KANQ38 公式サイト https://neuedada.wixsite.com/kanq38

『ジューリア』 西園寺リルケゴール 作

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2018-06-04
Copyrighted

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